ヤフーによるZOZO買収の陰で起きた疑惑のインサイダー
四季報オンライン
「市場の番人」――。日夜株式市場を監視し、相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引を調査する証券取引等監視委員会(監視委)は、畏怖を込めてそう呼ばれている。ひとたび不公正な取引を発見すれば、金融庁に対して課徴金の納付命令を勧告や、検察に刑事告発を行うこともある。投資家を守り、市場機能の健全化を促すという目的のため、その絶大な権力を適切に行使しているか、監視委はその真価を常に問われる立場でもある。そんな市場の番人が今回摘発に踏み切ったのは、どのような案件か。(本連載は不定期で掲載します)勤務先の親会社であるZOZO(3092)の株式をヤフー(現LINEヤフー<4689>)が公開買い付けするとの情報を事前に入手し、買い付けの公表前に知人名義でZOZO株式を購入した――。 証券取引等監視委員会は9月8日、ZOZO中国子会社の50代(中国居住)の元社員に対し、このようなインサイダー取引を行ったとして課徴金1303万円の納付命令を発出するよう金融庁に勧告した。監視委は認否を明らかにしていない。 2019年のヤフーによるZOZO買収劇は、創業者である前澤友作氏の退任のきっかけとなったことでも関心を集めた。電撃的なTOB(株式公開買い付け)の裏で一体、何が起きていたというのか。なぜ4年後のこのタイミングで、当局は摘発に踏み切ったのか。
本文:2,263文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
川辺 和将