チラリズムはすべてのオトコの必修科目!? そのヤリクチを伝授
後日、この手がほかのお客様においても披露されていることが判明しましたが、それだけ効果的な技だということでありましょう。 カフリンクスやサスペンダーもそうですが、思えば着用アイテム数が多く、小物もあれこれ搭載できるメンズスタイルというのは、チラリズムを磨くための宝庫ですね。 足元からチラ見せさせる意外性のあるソックスは定番中の定番で、カナダ首相ジャスティン・トルドーの初期の人気を爆上げしたのはまさにコレ、カナダ国旗柄やスターウォーズ柄のソックスでした。 5ミリ見えるかどうかのポケットスクエアも意外にインパクトありますし、書類を見る瞬間だけ掛ける黒縁メガネの絶大な威力ときたら。 電話をかけると見える携帯ケースや足を組みなおす瞬間に現れる靴裏など知識と工夫でいくらでもチラ・バリエーションが増やせます。
高級アイテムでフル装備する必要もありません。場合によっては手元の絆創膏チラ見えも萌え要素になります。日頃やんちゃなのに公共の乗り物で礼儀正しいとか寡黙なのに一瞬だけ微笑むなど、振る舞いや所作のチラリズムも理性破壊力があります。 技法はそれこそリミットがありませんが、意図的なのだけど意図がチラ見えすることだけは避けたいものです。あくまでも無自覚に見えてしまったというさり気なさや無防備感を演出することが肝要です。 チラ見え誘惑術は人生を楽しくする大人のアート。万一、意図がチラ見えしたとしても、その努力がカワイイと思われれば勝ちね。 2024年11月号より ※価格はすべて税込み価格です
● 中野香織(なかの・かおり)
服飾史家であり、作家。ダンディズム史、ファッション史、ラグジュアリービジネスなどを研究。著述、講演、コンサルティングを中心に活動中。女性ならではの感性と、圧倒的な知識量をも持ち合わせた、唯一無二の存在。 写真/川田有二 スタイリング/四方章敬 ヘアメイク/yoboon 文/中野香織 編集/堀川正毅、加藤寛太(ともにLEON) 撮影協力/メルキュール東京日比谷