中村敬斗、望月ヘンリー海輝を輩出した街クラブ・三菱養和ユースの今。根付く伝統のもとで新たな傑物が台頭。U-15代表FW伊藤優が中3で躍動中
“NEXT中村敬斗”が登場
実際に9月7日に行なわれたU-18高円宮杯プリンスリーグ2部・第11節の前橋商高戦(1−0)は巣鴨のグラウンドで開催され、先輩たちの戦いをスクール生が応援する光景も見られた。 そのなかで一際大きな声援が飛んでいたのが、中学3年生のFW伊藤優だ。前節の千葉U-18戦(1−3)でユースデビューを飾り、ゴールまで奪ったレフティに対して、子供たちが熱視線を送る。 最も盛り上がったのは74分のプレー。左サイドからパワフルな突破で局面を打開し、得意の左足でパンチの効いたシュートをお見舞いした。惜しくも枠を捉え切れなかったが、インパクトを残すには充分過ぎる一撃だろう。 伊藤はU-15日本代表歴を持つ有望株。50メートルを6.1秒で走る俊足に加え、180センチのサイズを生かした高さと左足の破壊力は年代でも屈指のレベルにある。フィジカル面はまだ発達途中で、水泳経験者で188センチの父親を持つことを考えれば、まだまだ身長は伸びそうで、“NEXT中村敬斗”としての期待値は大きい。 「状況判断は改善していかないと上で通用しない」と本人は課題について語ったが、ポテンシャルは一級品。5月に行なわれたU-15日本代表のクロアチア遠征では、本職の最前線ではなく、左SBでプレーしており、今後の成長が楽しみな逸材だ。 アットホームな雰囲気で先輩と後輩が切磋琢磨する三菱養和の伝統は変わらない。先輩たちの背中を見て、後輩が育つ。今まではクラブ内だけでそうした“憧れ”があったが、近年はA代表に多くのOB選手が食い込んだことで、より高いレベルを目ざす選手も増えた。 今季、チームで10番を背負うMF中村圭汰は言う。 「僕もヘンリーくんや敬斗くんと一緒にプレーしたい」 唯一無二の“街クラブ”としての挑戦は続く。次世代の日本代表を担う選手の育成を目ざし、活気のあるグラウンドで今日もまた子供たちがピッチを駆け回る。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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