【MMA】ジョン・ジョーンズ失格の反則は反則でなくなる──11月から世界で導入のMMA新ルールとは? DEEP独自改正では体重超過の減点に変更も
2024年11月から、世界的に新たなMMAルールが施行される。 北米UFCでは、11月3日(日本時間4日)の『UFC Fight Night: Moreno vs. Albazi』カナダ・エドモントン大会から、新ルールを導入した試合が行われる。 【写真】新たなグラウンドの定義「手や足以外の身体の部位が床に触れている状態」とは? 新たなルールでは、かつてUFCでジョン・ジョーンズが唯一の黒星をつけられたマット・ハミル戦でのジョーンズによる垂直方向「12to6」のヒジ打ちが解禁された。また、マットにあえて手を着いてキックなどの打撃を防ぐこともあった「グラウンドポジション」の定義が変更されている。 また、日本では11月4日(月・祝)の『DEEP 122 IMPACT』東京・後楽園ホール大会で新ルールを導入するDEEPが、10月18日に『DEEP×JMOC MMA ルールミーティング 2024』を開催している。 そこから、ユニファイドルールとして世界的に改正される部分と、DEEPルールの新たな改正・変更を事前に紹介したい。 【ユニファイドルールの改正】 ◆グラウンドポジションの定義が変更 ・新たなグラウンドポジションの定義 手や足以外の身体の部位が床に触れている状態(※ヒザやヒジ・前腕が着いているとグラウンド状態) ◆12to6エルボーの解禁 ・従来は、前腕部が床に垂直の上体で振り下ろすヒジによる打撃攻撃(12to6エルボー)は「反則」だった。これを今後、反則行為より除外する(※「後頭部」や「脊椎」への打撃攻撃は従来通り禁止)。 ちなみに「後頭部」の定義は、頭頂部より後ろ側の中心線から両側に約1インチ(2.5cm)=計5cmの幅を真っ直ぐに下がった範囲(いわゆるモヒカンの部分)および、頭部と首の結合部(耳の上の高さあたり)から僧帽筋の最上部までの首の後ろ側全体の範囲。 「脊椎」の定義は、僧帽筋の上部から尾?骨まで。 【DEEP独自の改正・変更】 ◆計量超過時の減点 ・超過体重が0.5kg未満 1点減点 ・超過体重が0.5kg以上 2点減点 ・超過体重が1,0kg以上 3点減点 ◆試合コスチューム ・ショーツ等にサイドスリットがある場合は、サイドスリットが総丈半分以下の長さのものにすること DEEP独自の改正ルールとして大きな変更点は、体重超過に対して罰則が厳しくなったこと。今後、身体に負担が大きな減量に向け、選手のみならず、事前の周囲のチェックやケアーがより必要となるだろう。 また、『DEEP×JMOC MMA ルールミーティング 2024』では、あらためてDEEP MMAルールの判定基準について説明がなされた。 まず「MMAの本質」として「打撃、グラップリングを駆使してKO、一本を狙う競技」と定義。 「打撃が使えるのでそれを効果的に使ってインパクトを与える=効果的な打撃」 「グラップリングが使えるので、それを効果的に使ってインパクトを与える=効果的なグラップリング」 としたうえで、「インパクト=ダメージ」「ニアフィニッシュ=ダメージではない」とも説明。 また、ABC(「ASSOCIATION OF BOXING COMMISSIONS AND COMBATIVE SPORTS UNIFIED RULES OF MIXED MARTIAL ARTS」)2023改正プロトコルを引用し、「膠着ブレイク」の判断基準として、「試合をフィニュシュさせるための努力(攻撃)をせずに、単にポジションを維持しようとすること」とし、「勝利には向かうけれども、ゴール(KO・一本)に向かわないものであれば、それはスタンドアップ(ブレイク)を躊躇しない」とした。 上記を踏まえ、10ポイントマストシステムの「DEEP MMAルール」の場合では、判定基準を、 ①効果的な打撃/グラップリング(プランA) (Damege, Dominance, Duration) ②効果的な積極性 ③ファイティングエリアコントロール ※①が同等であると評価されない限り、②と③は考慮されない と説明。ほとんどの試合がプランAで差が見い出せるとした。 プロファイターにとっては、時間内にフィニュシュに向かうためのファイトがより求められる、MMA競技としてタフな昨今の判定基準。それを理解した上で、新ルールとともにMMAの試合を見るのも興味深いだろう。