「デジタル事業の新ブランド・ブルーステラ、顧客へのアピールだけでなく社内の理解が相当深まった」…NEC・森田隆之社長
どのように生成AIが作られ、進化させるのかについて、深い理解に基づく事業の展開ができるようになった。業務や業種に特化した様々なアプリケーションの領域に合わせた提供をしていきたい」
防衛事業人員、足元でも逼迫感
――防衛事業の現状と見通しについて。
「1、2年で次元が変わった。(3年間で1200人増員する計画を進めているが)足元でも逼迫(ひっぱく)感がある。継続的にこの領域では人材が必要になる。見通しがつきにくい状況にはあるが、地政学的な状況は大きな流れとして変わらない。
その意味では、日本が防衛力を含めて自分たちでしっかり国を守っていくことに関し、投資をして力を注ぐというトレンドは必要になる。当社が手がけているサイバーや電磁波、宇宙の領域での先進技術は経済安全保障の観点でも重要だ。
量子暗号のようなものも含めて、日本が世界でリードできる技術を確保することは自国を守る上でも重要だし、平和にも貢献できる。伸ばしていきたい」
――賃上げの考えは。
「モノの値段も上がっており、実質的な賃上げで応えていくのは企業の責務だと思う。それ以上に労働市場は流動化していく。マーケットに基づく報酬体系を実現しなければ、競争力を失う。会社で一律というよりも、職務や業務内容に基づき、資源配分していくことになる。全体としてみれば、魅力的な賃上げで応えていきたい」
ラピダス追加出資検討も
――ラピダスへの出資に対する考え方を。
「当社は過去に半導体事業を切り離した歴史がある。一方、現在は当社も先端領域の半導体を設計し、TSMC(台湾積体電路製造)などに生産を委託する依存構造にある。設計でも米エヌビディアやブロードコムに依存しており、競争力が足りない。
コロナでは当社も(半導体不足で)苦しんだが、今も供給網にはリスクがある。日本でラピダスのような少量多品種の半導体で設計、サポートも含めて実現するのは、ユーザーとして歓迎できる。この話を聞いた時に、ユーザーとして支援したいと思い、最初の出資に応じた。その立場は変わっていない。(追加出資の)要請があれば、その立場で考えたい」