「デジタル事業の新ブランド・ブルーステラ、顧客へのアピールだけでなく社内の理解が相当深まった」…NEC・森田隆之社長
NECの森田隆之社長が東京都内で、読売新聞などのインタビューに応じた。航空・宇宙・防衛事業の担当者を増員する方針を明らかにしたほか、先端半導体の量産を目指すラピダスへの追加出資検討に前向きな姿勢も示した。(聞き手・村瀬駿太郎)
人材の取り合い競争激しく
――デジタル関連事業の新ブランド「ブルーステラ」の手応えは。
「ブランドをつくることがこれほど大きなインパクトになるとは思わず、うれしい驚きだった。顧客へのアピールもあるが、社内への影響が大きく、ビジネスモデルについての理解が相当深まった。
ITサービスと社会インフラ、ブルーステラ。事業分野をわかりやすくして、NECが何をやっているのか、一言で語れるようにした。マーケットとの信頼関係は重要なので、できるだけ外に発信することを心がけている」
――人員の再配置について。
「ますます異業種間で人材の取り合い競争は激しくなっている。(当社の事業分野の競合は)外資系企業も多い。DX(デジタルトランスフォーメーション)の人材は、金融機関やほかの製造業など、様々な業種が必要としている。キャリアは自分で作ろうという若い人も増えている。社員の向上心ややる気に応え、報酬を含む魅力的な職場を作ることは必要だ」
――AI(人工知能)事業では、かなりの電力を消費する。
「AIを最適化するアーキテクチャー(設計)の検討が、新興企業を含めて進んでいる。消費電力が5分の1になるといった例もある。米エヌビディアを中心に、今後もGPU(画像処理半導体)の普及は進むと思う。データセンターもこれまでと処理の頻度が異なり、電力消費量が多くなる。電力は大きな問題になると考えており、何らかの施策を打たないと、国際的な競争で不利になる」
――生成AIの強みと特化する分野を。
「様々な会社が生成AIに取り組んでいる。当社はゼロから生成AIを作っている。3年ぐらい前に、研究開発のために、GPUの能力が高い機器をそろえた。それが自由に使えるようになったことが、競争優位を保てている理由の一つだ。