学生人気が高い伊藤忠商事 大学院での稲の研究が、食糧部門での「やり抜く力」に
強豪ラクロス部のマネージャー経験
就活では、大学の先輩にアドバイスをもらうことが多かったそうです。 「面接で意識したのは、先輩からの『面接でとりつくろっても入社してから自分が苦しむだけ。正直にありのままの自分をさらけ出したほうがいい』という言葉でした。おかげで面接には『次はどんな質問がくるのだろう』と楽しむくらいの気持ちで臨めたので、リラックスして話すことができました。内定をもらえたのもそのおかげかもしれませんし、私自身のチャレンジしてきた経験やその精神が伊藤忠商事の社風とマッチしたのだと思います」 大学時代にチャレンジしたのは、研究活動のほかに部活動がありました。 「部活は自分が本気で取り組めるものがいいと思って探したところ、名古屋大学の中で強豪の部活は男子ラクロス部でした。それでマネージャーをすることにしました。高校までは吹奏学部だったので、文化系から体育会系へ、また自分が主体となる活動から部員をサポートする活動へと変わったので、私にとっては大きなチャレンジでした」 男子ラクロス部はマネージャーだけで20人程度いる部活で、自分の存在意義を考えることが多かったと言います。 「常に周りを見て、自分にできることは何かを考えることができるようになりました。私は役職に就いていなかったので、役職の人たちが見つけられていない課題を見つけることに徹していました」 現在、田中さんは食料カンパニー食糧部門の油脂・カカオ部に所属し、カカオ豆の輸入業務などを担当しています。 「配属されて3カ月程度ですが、初めて知ることが多く、毎日ワクワクしています。カカオ豆について詳しかったわけではないので、先物取引であることやチョコレートになるまでの過程などを初めて知りました。まずはカカオのプロと言われるくらいに詳しくなって、頼られる存在になりたいです。カカオ作りはどんどん新しい技術が開発されていますが、研究室での経験があるので、サイエンスの話にも興味をもって関わることができています。中学生のころから関心があった食糧問題の解決にもつながるような仕事ができて、やりがいを感じています」 自分がやりたいことだけではなく、その会社の社風に自分が合っているかどうかを冷静に見極められることが、就活では大事なことと言えそうです。 (文=中寺暁子)
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