AndroidにAIがリアルタイムで「詐欺の可能性を警告」する革新的セキュリティ機能
AndroidとiPhoneの差は縮まりつつあり、セキュリティとプライバシーの分野でもエキサイティングなアップデートが行われている。特に最近ではアップルが常にリードしているわけではないようだ。 今年に入ってこれまでで最も興味深いAIセキュリティ機能の栄冠は、グーグルに与えられるかもしれない。グーグルが、米国やその他の地域の多くのスマートフォンユーザーにとって、究極のゲームチェンジャーとなり得る、まったく予想されていなかった新機能を突如として発表したのだ。 新たに発表されたAndroidの機能は、スマートフォンに着信した音声通話をリアルタイムでモニタリングし、ユーザーに潜在的な詐欺の可能性を警告するというものだ。たとえば、セキュリティコードや個人情報を要求したり、唐突な取引を持ちかけたりするなど、本物の銀行員がすることはまずないような要求を、銀行員と偽って要求する例などが挙げられている。 この分析は完全にデバイス上で行われ、グーグルのAIであるGemini(ジェミニ)の軽量版であるNanoプラットフォームを使用するため、顧客のプライバシーは保護される。これは、あらゆる形式の通話モニタリングにとって明らかに重要なポイントだ。 サムスン、アップル、グーグルがプレミアムスマートフォンのAI分野でしのぎを削る中、端末上での処理とクラウド上での処理の線引きは、個人情報を過剰に取り込まず、プライバシーへの懸念を引き起こさずに新機能を導入するための重要な要素となりつつある。 このAI機能は、詐欺に関連する典型的な言語パターン、単語やフレーズ、行動に焦点を当てるようだ。そして明らかに、より広範に導入されればされるほど、デバイス上のプライバシーモデルに適合したトレーニングデータサイクルを経ることになり、より優れたものになっていくだろう。
新しいAIリリースの焦点は、古いデバイスがどのように対応できるかにある
音声通話のスペシャリストであるHiyaが発表した「2024年の通話状況」レポートによれば、「(米国における)音声通話のセキュリティと信頼性に対する脅威は変わらず蔓延しており、過去1年で悪化の一途をたどっている。過去12カ月間、全通話の14%以上が迷惑電話であり、詐欺電話の被害に遭った消費者が報告した金銭的損失は平均2257ドル(約35万3000円)に達した。一方、企業は、発信者不明の通話や迷惑電話・詐欺電話としてフラグ付けされた通話に出ることを警戒する顧客へのアプローチが難しくなり、収益が減少し運営コストが上昇し続けており、ブランドの評判にも悪影響を及ぼしている」とのことだ。 Hiyaが分析した2000億件以上の通話から、「迷惑電話は消費者の携帯電話で迷惑電話や詐欺として表示されることもあるものの、消費者が迷惑と感じる多くの通話にはまったくラベル付けがされていないことが分かった。消費者の92%が、発信元不明の通話を詐欺だと考えている。そのような通話のほぼ半数(46%)は無視される。身元不明の通話の残り半分、つまり消費者が応答する通話については、聞き逃せない電話かもしれないという懸念から、消費者は通常、しぶしぶ出ているに過ぎない」という。 この新機能がいつリリースされるのかは、まだわかっていない。リリースされる場合も、より高性能なAI処理機能を搭載した新しいデバイスに限定される可能性が高い。 サムスンの「ハイブリッドAI」でも、古いデバイスでは利用可能な機能が制限され、全機能は新しいフラッグシップに限定されるという違いが見られた。グーグルも最新のPixelデバイスで同様の扱いを行うと予想される。そして、秋に発表されるアップルのiPhone 16に注目が集まっている。新しいAIリリースの焦点は、新しいハードウェアだけでなく、古いデバイスがどのように対応できるかにある。
Zak Doffman