ホテルで落としたミニカーがレッカー車で帰ってきた! 「悲しい思い出にしたくない」スタッフの粋な計らい
子どもがホテルでうっかり落としてしまったミニカー。家でうなだれていた小さな兄弟のもとに郵送されてきたミニカーには、ある演出がほどこされていました。「粋な計らい」と反響を呼んだホテルの対応の、舞台裏を聞きました。(withnews編集部、松川希実) 【画像】ホテルの演出はこちら。「車が戻ってきた時に楽しい思い出として残るようにするには」と考えました
「パトカー、おとしちゃった…」
今年のゴールデンウィーク、愛知県在住の卯月まーこさん一家は、一年ぶりの家族旅行として、2泊3日で大阪へ出かけました。 ホテルのエレベーターの中、2歳の次男は、5歳の長男のミニカーを借りて遊んでいました。トミカの「GT-R覆面パトカー」。2年前に行ったトミカのイベントで、長男が色などを選んで作ったオリジナルの特別なトミカでした。 1階についたとき、次男が小さく「おとしちゃった…」と叫びました。卯月さんがはっと下を見ると、エレベーターと床の隙間から、あの「GT-R覆面パトカー」が落ちていくところでした。 すぐには取れないことを知ると、次男は泣きじゃくり、長男もショックを受けていました。 「諦めるしかないか…」と思いつつも、近くにいたホテルスタッフに事情を説明してみました。すると、その場で確認をしてくれて、偶然にもこのエレベーターが、数日後に、3カ月に1度のエレベーター点検を控えていることが分かりました。「その日に探すことができるかもしれません」 「もしも点検の時に見つかったら、着払いで送って頂けませんか」、そうお願いして、卯月さん一家は大阪を後にしました。 でもその後の旅行中も次男はたびたび「パトカー、おとしちゃった…」とつぶやき、2歳の心にはずっとパトカーがひっかかっていたようでした。
「楽しい思い出として残るようにするには」
数日後、卯月さん一家が宿泊していた大阪の御堂筋のホテル「W大阪」では、エレベーター点検がありました。訪問した外部の専門家に、ホテルのエンジニアが伝えました。 ミニカーを落としてしまったお客様がいらっしゃる。どうか、くまなく探してあげてください。 エンジニアには、小さな子どもが2人いました。「大好きなミニカーをなくしたら、どれぐらいがっかりするか、手に取るように分かる。宿泊が悲しい思い出になってしまわないように、見つけてあげたい」 そして、エレベーターの底に、無事「GT-R覆面パトカー」が見つかりました。 ところどころはがれた塗装。落とした時の衝撃でついたものではなく、2年間、持ち主の子どもたちが外に行くのも、お風呂の中でも、いつでも一緒に遊んでいた証でした。 落としたことでさぞ悲しい思いをしているだろう。「車が戻ってきた時に楽しい思い出として残るようにするには、どのように返してあげたらいいだろう」、そう思ったエンジニアは、チーム内で、さらなる〝演出〟を考えました。