「未履行の場合3千ユーロの過料」ベルリンの少女像についに撤去命令…争点は
ドイツ・ベルリンのミッテ区に設置された「平和の少女像(以下少女像)」に、ついに撤去命令が下された。 11日、少女像を設置した在独市民団体「コリア協議会」が公開したミッテ区の撤去命令通知は、少女像を31日までに撤去しなければ、3000ユーロ(約440万ウォン)の過料を科すと通告している。コリア協議会は裁判所に撤去命令中止の仮処分を申し立て、司法の判断を受ける計画だ。2020年9月に設置されて以来、4年間にわたって日本政府の圧力を受け続けてきた少女像の存続が危うくなっている。 ミッテ区は先月30日にコリア協議会に宛てた撤去命令通知で、少女像の設置期限の延長および永久存置が不可能な理由として、これまでの「慣行」をあげている。ミッテ区は「(区の)慣行上、都市内に一時的に設置された芸術作品の展示期間は最大2年」とし、記念碑などを永久設置するには公募手続きを経て特別使用許可を受ける必要があると述べている。「(少女像の)永久設置は不当な特恵」になるとの主張だ。 ミッテ区は当初、少女像設置の期限を2021年9月までの1年間としていた。その後、2022年9月までの延長を決めている。それ以降は、最終決定が下されるまで少女像の存置を臨時に「容認(Duldung)」している状態だったとミッテ区は主張する。 ミッテ区は「設置は慣行上2年」を主張しているが、絶対的な基準ではない。ドイツの公共放送「ベルリン・ブランデンブルク放送(RBB)」の先月19日の報道によると、戦争で破壊されたベツレヘム教会を記念する芸術作品はミッテ区が10年間の設置を許可しており、さらには公共基金の補助まで受けている。 同区のシュテファニー・レムリンガー区長と同じ緑の党に所属する区長が選出された近隣のフリードリヒスハイン・クロイツベルク区は、「ミッテ区と対照的に、臨時の芸術品を永久化することは法的に問題とならない」との決定を下しているとRBBは伝えている。RBBは実際に臨時設置されたオブジェが永久存置された例を調べるために、地域に設置された芸術作品と許可期間の目録を要請したが、ミッテ区は保管していないと主張したと報じている。 ベルリン州政府とミッテ区は、日本との外交的対立が懸念されることも撤去命令の背景として掲げており、日本政府の主張をそのまま受け入れているとの批判も浴びている。同区は「2015年の日本と韓国の合意で日本軍『慰安婦』問題は解決されたと考えているドイツ連邦政府の立場に従っている」とし、「これによりドイツと日本のさらなる外交対立と協力の悪化のリスクを避けたいと考えている」と述べている。また「韓日の対立をテーマとする少女像はドイツと直接的な関係がなく、ドイツの首都の記憶と追悼の文化に直接的に合わない」とも主張する。2015年の合意とは、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に交わされた日本軍「慰安婦」合意(以下、韓日合意)のこと。 しかしベルリンとは異なりイタリアのスティンティーノ市は、日本政府の妨害と引き留めにもかかわらず、今年6月に少女像を設置した。その際も日本はスティンティーノ市に対し、少女像を韓日の対立要素へとわい小化しつつ、「慰安婦」問題は韓日合意ですべて解決されたとの主張を展開したという。しかし、少女像の建設にかかわった市民と正義記憶連帯(正義連)は同市のリタ・バレベラ市長と面会し、国連などの国際機関が韓日合意の問題点を複数回にわたって指摘し、改正を求めていることを示しつつ説得した。 国連女性差別撤廃委員会は2016年3月、韓日慰安婦合意は被害者中心原則も守られていないとして、被害者の権利を認め、公式謝罪などの措置を取るよう日本政府に勧告している。その後も国連人権理事会(2017)、国連女性差別撤廃委員会(2018)、国連特別報告官(2023)などが再三にわたって合意改正を勧告しており、今年も国際労働機関(ILO)が、「慰安婦」問題を解決するための日本政府の具体的措置がないとして、被害者救済を求めている。 正義連のハン・ギョンヒ事務総長は12日(現地時間)、ハンギョレに「韓日合意によって『慰安婦』問題は解決されており、少女像は韓日関係の問題だというのは、日本政府が取ってきた典型的な立場」だとし、「少女像は普遍的人権の問題を記憶し、追悼するという意味を持つため、(韓日合意は)少女像撤去の根拠にはなり得ない。過去のホロコーストを謝罪し続け、今も碑を建てているのがドイツなのに、日本の論理をドイツが受け入れるのは望ましくない」と述べた。 ミッテ区とコリア協議会の間では、少女像の私有地への移転をめぐっても意見の食い違いがみられる。区は、少女像の存置を認めない代わりに、9月にミッテ区内の3つの私有地を代替地として提示したが、コリア協議会が同意しなかったと主張している。だがコリア協議会は、その際の議論でレムリンガー区長が「具体的な候補地も提示せずに私有地条件を示したため、受け入れられなかった」との立場だ。コリア協議会はその後、管内の公共用地から5カ所の代替地候補を選んで移転場所を議論することを提案したが、ミッテ区は応じていない。 一方、今回の撤去命令について外交部は12日、「状況は認知しており、事案を綿密に注視しつつ、関連団体・機関などと意思疎通を続けていく予定」だと述べている。 ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )