SBIとOasysが提携、ゲーム特化型チェーンが目指すところとSBIの狙い【インタビュー】
日本のマーケットのポテンシャル
──Web3ゲーム、ブロックチェーンゲームのブレイクは多くの人が期待している。何が起爆剤となるだろうか。 松原:日本のマーケットには大きなポテンシャルがあると考えている。実際、初動の購買力は非常に大きい。例えば先日、コロプラの子会社が手がけるPlay to Earn(P2E)ゲーム「Brilliantcrypto」のトークンがコインチェックでIEOを行い、10分くらいで目標金額の15億円を集めた。最終的に申し込み金額は20倍の300億円超にのぼった。海外大手暗号資産取引所のローンチパッドよりも購買力が強い。ただ現状、IEOでの購買力は大きいが、税金などの問題で2次流通の取引高は大きいとは言えない。 そうした問題さえ解決できれば、日本は非常に良いマーケットになる。コンテンツは購入されていて、最近出たWeb3ゲームにも10万単位でユーザーが集まっている。あとは流動性の問題。今は海外の流動性を含めた形で作り上げるしかないが、日本のマーケットが強くなれば、我々の強みをもっと活かすことができる。実際、FX取引では日本のユーザーは世界有数の規模を誇っている。税制などのハードルが解決されれば、2次流通も膨らむと考えている。 近藤:2017年には、円での暗号資産取引がグローバルで1位を占めていた。すべてが規制のせいというわけではないが、リテール(個人投資家)の取引高が増えていくことが必要だ。レバレッジも今は2倍に規制されているが、業界として緩和を求めている。 今年は1月に米国でビットコインETFが始まるというニュースがあり、春にビットコインが1000万円を超え、明らかに世の中の暗号資産への注目度は上がっている。国内の口座数も1000万口座を超え、当社も口座開設数が過去最高のペースで伸びていることから、今後もリテール取引は広がっていくと考えている。さらにSBIグループは、リテールだけでなく、今回のOasysとの提携のようにエコシステム側と組んで、エコシステムの拡大も全面的にサポートできる機能を有している。その強みを活かしていきたい。 ──6月の「Cousensus 2024」で独自セッションを開催した。Oasysのグローバルでの評価と今後の取り組みについて聞きたい。 松原:おそらく我々の認知度が高いのは、日本と韓国、そしてゲーム業界。クリプト業界は今、欧米のトレーダーと中華系のトレーダーが2大勢力だが、まだそこに届いていない。今回、そこにリーチしていきたいと考えている。 近藤:現状のクリプトマーケットは、取引高やETFのようなニュースもそうだが、欧米が先行するケースが多く、欧米で生まれたムーブメントを国内に波及させるという流れがある。その意味で、流動性の話が出たが、SBIグループが90%の株式を所有する大手暗号資産マーケットメーカーのB2C2はイギリスに本社を置き、米国と日本に拠点がある。彼らはフランスの同業も買収している。日本国内では我々SBI VCトレードがマーケティングをサポートし、海外の取引所やOTC取引業者には、B2C2のような企業がグローバルにリーチできる。すでに、ウェビナーを松原さんと一緒に開催したが、今あらためて調整しているところだ。 実際に投資を考えているお客様にグローバルでリーチできるので、Oasysの考え方や方向性、どういったゲームが登場するかなどを伝えていきたい。私自身もゲーマーなので、日本発のチェーンを盛り上げていきたいし、ゲームは日本が誇る文化のひとつなので、マスアダプションをサポートできることを楽しみにしている。 松原:今年はこの先、米国の大統領選挙もあり、市場は盛り上がっていくと考えている。今回の提携を機に地盤を固め、世界で戦えるコンテンツをしっかりサポートしていきたい。具体的には、今後登場するゲームトークンの流動性を担保するためにも、オアシス(OAS)の流動性を高め、価値を向上させていきたい。 |インタビュー・文:増田隆幸|写真:CoinDesk JAPAN編集部
CoinDesk Japan 編集部