手数料自由化から25年…“戦国時代”真っただ中のネット証券は決算で明暗クッキリ
いまでは個人の株式売買の90%以上はネット証券のオンライン取引で行われている。ネット証券は1999年の金融制度改革「金融ビッグバン」による株式売買手数料自由化から誕生。規制緩和が新しい成長市場を開拓した成功事例である。 【写真】投資の神様ウォーレン・バフェット氏 自由化から25年に当たる現在、ネット証券は業界再編が目まぐるしく進み生き残りを懸けた熾烈な競争が展開されている。2023年には、みずほ証券が楽天証券に追加出資し資本関係を強め、マネックス証券はNTTドコモの実質連結子会社となっている。25年1月には、auカブコム証券が三菱UFJ銀行の100%子会社化も予定され、業界を超えた再編が進む。 24年4~9月期のネット証券3社の決算(表)は、経営戦略の明暗が分かれる結果になった。 トップを走るSBI証券は純営業収益で1031億円(前年同期比12%増)と増収を確保する一方、純利益は235億円(同8%減)と減益となった。楽天証券も同じく純営業収益631億円(同10%増)に対し、純利益は86億円(同31%減)と大幅な減益である。 ■松井は増収増益 健闘しているのは松井証券。純営業収益193億円(同15%増)、純利益60億円(同28%増)と増収増益で、純営業収益の増益率では3社のなかでトップだった。純利益も他社が減益のなか増益を果たしている。 トレーディング損益は19億円(同68%増)と急伸した。21年以降、1通貨から取引できるFXや自動売買など、独自サービスを強化している。顧客基盤の拡大やFX取引増が牽引しているといえそうだ。 01年に国内で初めてインターネットによるFXサービスを開始したが、その後、FX専業会社などの台頭によりサービス面で後れをとっていた。21年のサービスリニューアルを経て、昨年リリースした「100円から取引できるFX自動売買サービス」により巻き返しを図っている。 =つづく