電動「タタメルバイク」市販モデルに試乗!軽快、静か、そしてオシャレに街を行く!
耐久テストに、筆者も協力……ブラッシュアップ!
市販モデルの熟成に向けたさなかのある日、生駒氏のラボから連絡を受けて訪ねると、耐久テストをしたいというお話でした。 バッテリーは消耗しだい交換。時期は冬。60kgのウエイトを後ろに積み、好きなように走ってもらいたい……という要請でした。関節的な可動部分が磨耗したりガタが出るかもしれませんよ~と、あらかじめ予想されることをお話しておいて、真冬の深夜の郊外で騒音を出さず(ステップはガリガリに削れたけど)、ひたすら走らせて、各部のガタの出かたやモーターの回り具合、ハンドリングの変化をテスト。 ウエイトの重さは私の体重よりも重く、コース設定したルートの最終エリアには激坂もあって、速度を5km/hにまで低下。それでも試作型のタタメルバイク号は各部にかなり負荷をかけられながらも頑張ったように思います。 規定距離を走り終えるころには、率直に言って各部バックラッシュが増えてガタが生じたほど。そんな荒っぽい使い方も想定に入れ、生駒さんと開発スタッフはタタメルバイク製品化に向けてブラッシュアップに励んだのです。 ■タタメルバイクの右7:3。ボディ側面のカバーでホールドしやすい構成。ステップの位置は前よりで、窮屈さはあまり感じません。 ■左斜め後ろからのアングル。スイングアームのメカっぽさに、意外やトラデ ィショナルな角度のショックユニットが目を引きます。
市販モデル、短いホイールベースに合わせて走ってみる
そんな経緯もありまして、市販モデルとしていっそう改良されたであろうタタメルバイクを改めて眺め、少し感慨深くなりながら試乗させていただきました。 タタメルバイクは短時間で乗り慣れる車両です。交通法規を遵守しつつもある程度流れに乗って走らせた方が安全な場面もあるため、30km/hを少し超えて走れる“モード3”に設定して走らせてみました。ほかにも「電力消費を抑え低速重視」のモード2などがありますが、実際、モード3の方が一般的使用状況に近いと考えたからです。 出だしはスムース。耐久テストで60kgのウエイトを積んでいたときとは打って変わって軽快に走ります。個人的には特徴的と感じていたリヤショックユニットの角度はヤマハの初期のモノサスを思わせる傾斜設定であり、よくタタメル機能を持たせながらこのサスの取り付け方ができたものだなあと感じ入るばかりです。 ただし、このコンパクトさと引き換えになっているのが短いホイールベース。不整気味な舗装路面ではピッチングの面でどうしても弱く、大きなバイクと比べると前後に揺すられがちで安定の面で不利なのは否めません。なので、調子に乗ってスピードを出さず、安全上必要があっても法定速度プラスα程度までにとどめて走るのが法的にも快適性的にも良好のようです。 直進性が外乱によって著しく落ちることはありませんが、後輪のサイズが小さいこともあって路面のデコボコにちょっと弱いのは仕方がないでしょう。また、適度な速度で走るのは、バッテリーを消耗させにくくなるという面からも好ましいでしょう。 ■収納可能なハンドル周り。展開時にはこのように一文字ハンドル風に。 ■シートの着座面は展開時には後ろにスライドさせ、ポジションに余裕ができるように考慮&作り込まれています。 ■やや簡素ながらフロントサスにもバネ&ダンパーが付いていて、衝撃を緩和。本文でも述べましたが、当たりが取れていない初期はピッチングもそれなりにあるので、慣らしも含めてスクーターなどよりも丁寧に扱う方が長持ちの秘訣となりそうです。 ■スイングアーム後端には収納時の移動がしやすいようにローラーが付いています。随所にロボット変形的な収納のためのアイデアが散りばめられているのです。 ■後方からシートとボディ上部のカバーを撮影。シート後部にはスタンドをかける際などに便利なレールを搭載。基本的にはボディ側面のパネルには触れずに、各種動作ができるようになっている。