ハリルがA代表入りへ見初めた3人は誰?
柿谷曜一朗の活躍で優勝した前回大会から2年。ハリルジャパンにとって今大会の目標が連覇にあったのは間違いない。 だが、もうひとつ重要な目的があった。それが、国内組の見極めだった。 国際Aマッチデーに開催されていない今大会には、本田圭佑や香川真司をはじめとする欧州組が招集できない。そのため、Jリーグでプレーする選手たち=国内組だけで構成されたチームで臨んだ。 招集された23選手の中には代表初選出の選手が7人いて、ハリルホジッチ監督自身、候補キャンプにも呼んだことがなく、間近でプレーを見るのが初めてという選手も数名いた。その中から“真のA代表”に昇格できる選手は何人いるか――。今大会はいわば“オーディション”に近い趣があったのだ。 「この3試合を通して国内組のことがよく分かった。2、3人の本当に良い選手が見つかった。彼らは私たちに多くの満足を与えてくれた」 中国との最終戦を終えたあと、ハリルホジッチ監督はこんな風に語った。指揮官を満足させたその2、3人の本当に良い選手とは、いったい誰なのか――。 それについて探る前に、確認しておきたいことがある。先ほど「“オーディション”に近い趣があった」と書いたが、23選手全員が同じ舞台に上がっているわけではない。GK西川周作、東口順昭、DF太田宏介、槙野智章、森重真人、MF柴崎岳、山口蛍、FW宇佐美貴史、永井謙佑、川又堅碁といった選手たちは、ハリルジャパンの初陣となった3月のチュニジア戦から6月のワールドカップ予選・シンガポール戦まで招集されていて、彼らは現時点でハリルジャパンの常連と言えるのだ。彼らはいわば、オーディションを通過した選手たち。その能力に関して、指揮官はすでに十分把握しているはずだ。 ハリルホジッチ監督が「見つかった」と言うからには「2、3人の本当に良い選手」とは、それ以外のメンバーの中にいるのではないか――。 それを前提として考えたとき、まず思い浮かぶのが、遠藤航(湘南ベルマーレ)だ。彼を挙げることに異論のある人は少ないのではないか。このU―22日本代表キャプテンは、全3試合にフル出場した上で、北朝鮮との1戦目、監督との2戦目はサイドバックとして、中国との最終戦はボランチとしてピッチに立った。そもそも湘南では3バックの右ストッパーでプレーしているため、クラブとは異なる役割をふたつとも務め上げたのだ。 北朝鮮戦の3分には、ディフェンスラインとGKの間にクロスを放り込み、武藤雄樹の先制ゴールをアシストしている。そうしたクロスのセンスもさることながら、個人的に唸らされたのが、韓国戦でFWの興梠慎三に打ち込んだ何本かのくさびのパスだ。相手に押し込まれた展開であってもロングキックで逃げずにビルドアップを心がけたその意識と、狭いコースを斜めに通したパスの精度は、能力の高さを改めて感じさせた。 思えば、日本代表に定着し始めた頃の内田篤人も、しばしばこの斜めのくさびパスでビルドアップに貢献し、その地位を確立したものだった。