「儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教一」(サントリー美術館)開幕レポート。美術品からひもとく儒教の思想
東京・六本木のサントリー美術館で「儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教一」展がスタートした。会期は2025年1月26日まで。担当学芸員は大城杏奈(サントリー美術館 学芸員)。 儒教とは、紀元前6世紀に中国で孔子が唱えた思想。五常(仁・義・礼・智・信)による道徳観をもって聖人に近づくことを目標とし、徳で世のなかを治める人間像を理想としたものだ。 開幕に先立ち、大城は本展について次のように語っている。「『儒教』をテーマとした展覧会はサントリー美術館の開館以来、初となる。孔子の有名な言葉に『温故知新』というものがあるように、4世紀初頭に伝来した儒教と日本美術の関係に注目しながら、現代の生活にも通ずるその大切な思想を伝えることができたらと考えている」。 全4章立てとなる本展では、日本に儒教経典『論語』が伝来してからどのように日本国内に影響を与え、人々に普及していったかを美術品を通じてたどるものとなっている。「第1章 君主の学問」では、4世紀初頭に日本に伝来した儒教経典『論語』に為政者ら(天皇・公家・武家)が高い関心を示し、学びを得ていたことが伝わる美術品が紹介されている。 また、会場では中国・明の万暦帝のためにつくられたという帝王学の書『帝鑑図説』や、それをもとに描かれた美術品の数々がずらりと紹介されている。その並びでも、とくに狩野永徳らによって描かれたと伝わるもので、儒教で重要とされた親孝行をした24人を取り上げている『二十四孝』が画題となった《二十四孝図襖》は注目作品と言えるだろう。