【追跡取材】"牙ハンター"の違法収集も!? マンモスの牙から見えた"永久凍土" 融解の危機
日テレNEWS NNN
絶滅したマンモスの牙が、ここ数年、大量に見つかるようになりました。その場所は、永久凍土がとけ続けているロシアのシベリアです。そこでは、一攫千金(いっかくせんきん)を狙い、違法な発掘や取引も横行していました。
▶【動画】牙ハンターを追え!ロシアから中国へ“違法”手口も…永久凍土の巨大な穴からマンモスの牙
■中国 象牙の代替品は「マンモスの牙」
かつて、象牙の“密輸大国”とも言われた中国。今、北京の宝飾店には、「象牙の販売を禁じる」と書かれた横断幕が張られていました。 しかし、店内には、象牙のようなものがいくつも売られていました。
実はこれらは、すべてマンモスの牙だといいます。 店員 「ゆっくり見てください」 「これは100万元以上です」 牙まるまる一本、日本円で約2000万円です。密猟を防ぐため、象牙は国際的な取引が原則禁止されましたが、それに代わり、絶滅したマンモスの死骸からとれる牙が高値で取引されているのです。 店員 「これはロシアから仕入れました。とってもきれいでしょ」 近年、ロシアから中国などへのマンモスの牙の輸出は急増。中でもシベリアのサハ共和国で、相次いでマンモスが発掘されているといいます。
■温暖化で解け始める「永久凍土」
NNNのカメラはそのサハ共和国へ向かいました。 取材に訪れた時は夏真っ盛り。半袖の人が目立ちましたが、冬は氷点下50度にもなる“極寒の地”です。 その地盤のほとんどは「永久凍土」。氷河期に土や岩石などが凍ったものです。しかし、それが地球温暖化の影響で解け始め、マンモスの牙が続々と地表に現れているのです。
■極寒の地 「マンモスラッシュ」に沸く
土産物店に行くと、マンモスの牙で作られた商品がずらりと並んでいました。 “極寒の地”サハ共和国はマンモスの出土で、いま「ゴールドラッシュ」ならぬ、「マンモスラッシュ」にわいているのです。
■約1万2000年前に絶滅
約1万2000年前に絶滅したマンモスが展示されている北東連邦大学付属・マンモス博物館。その牙はマイナス18度の場所に保管されていました。 推定年齢およそ80歳。10年前に永久凍土から見つかったという巨大な牙は、淡い乳白色を保っていました。許可を得て、持たせてもらいましたが… 東郷達郎・NNNサハ共和国 「これはかなり重たいです。何キロありますか」 マンモス博物館 ヒョードロフ主任研究員 「18キロです」 ◇ サハ共和国で見つかったマンモスの牙は、去年1年間でおよそ110トン。その牙が見つかっている場所というのが、エイのような形をした、巨大な「バタガイカの穴」という場所です。取材クルーは、その穴を目指しました。