【追跡取材】"牙ハンター"の違法収集も!? マンモスの牙から見えた"永久凍土" 融解の危機
■直径1キロ 永久凍土がとけた「穴」
「永久凍土」に覆われた大地の上空を飛び、たどり着いたのは、サハ共和国のバタガイ地区。村のシンボルはマンモスです。 許可を得て、森の中にあるというバタガイカの穴へ向かいました。 歩くこと30分。突然、目の前に現れたのが、切り立った崖。この場所がマンモスの牙が見つかっているという「バタガイカの穴」です。 その直径はおよそ1キロで、「永久凍土」が解けてできた穴が、浸食して広がったといいます。
■鳴り続ける「崩れる音」
穴は最も深いところで90メートル。その底へと向かう途中、ガイドからは「ここは崩れているので注意してください」という注意がありました。 穴をおりていくと聞こえてきたのが、「永久凍土」が解け、崩れる音。解け出た水も流れていました。この穴は、いまも毎年数メートル広がっているといいます。
■2人のハンター「散歩しているだけ」
取材中に2人の人物に遭遇しました。手にオノを持ち、穴の底を目指す2人は、“牙ハンター”です。 声をかけてみると、返ってきたのは「こんにちは」という日本語のあいさつと、「散歩しているだけです」という言葉。しかし、これまでに5本の牙を見つけたといいます。 ―――何日に1本見つかる 「夏に一生懸命探しても見つからない可能性もある。すぐに見つかることもある」 「これは運だ。宝くじみたいなものだ」 狙うは一攫千金(いっかくせんきん)です。
■後を絶たぬ違法な牙収集
一方で、違法な牙収集は後を絶ちません。サハ共和国科学アカデミー・マンモス研究所に保管されていたのは、没収されたマンモスの牙です。 サハ共和国科学アカデミー プラタポポフ主任研究員 「許可なく不法に牙を集めている人が捕まった時に、牙が没収されて私たちに引き渡されます」 マンモスの牙は、許可を得れば集めることができますが、許されているのは「永久凍土」が解けて、自然に地表に出てきた牙を拾うことだけです。 その牙は誰が買うのか。 プラタポポフ主任研究員 「ほとんどは中国人です。中国に輸出されています」