大量閉店「イトーヨーカドー」、今後注力する食品メインの店舗も再出発からわずか4年で閉店に…。売り場から透ける「消費者の見えてなさ」
また、これらは値段もリーズナブルで、四合瓶サイズの調味料が300円ぐらいなのに驚いた。 であれば、現地の人だったら、だいたいこちらの中華食品店を使うだろう。 その意味で、イトーヨーカドーの品揃えは、「チャイナタウンがあるから中国食材を!」という思考のみで置かれていて、実のところあまり機能していないのではないか。本当にその中華食材は必要なのか? むしろ、それによって、日本人向けの必要な商品の棚が圧迫されてはいまいか?
実際、「地域に合わせた商品を売る」というのは、簡単なようでいて難しい。 この点で、興味深い例がある。シンガポールにあるドン・キホーテ(DON DON DONKIという)で、「焼き芋」が爆発的に売れたという事例だ。熱いものが熱帯地域で売れるわけがないと思っていたのだが、それは日本人の思い込みで、現地の人はデザート感覚で食べていたという。結局、焼き芋売り場の確保のために、バラエティグッズやブランド品を減らした。
西川口に限らず、何を置くのがその街に適しているかは、なかなか予想がつかない。だからこそ、トライアンドエラーで顧客の反応を見ながら商品を変えていくことが必要だろう。大事なのは柔軟性だと思われる。 近隣の中華食材屋と同じラインナップを売っているヨーカドーに、その柔軟性はあるのだろうか。 ■一方、ドンキはと言うと… ドンキの話をしたが、実は西川口にもドンキがある。しかも、ヨーカドーからそう遠くない距離。ほとんどチャイナタウンの中にあるといってもいい場所で、黄色と黒の派手な外観が街の中で目立つ。
さっそくその店内に入ってみると、まず驚かされたのは売り場構成だ。1階が日用消耗品で、2階が食品。3階は家電製品やブランド品が売られている。食品などが扱われる場合、通常は1階に食品売り場が作られることが多いが、ここはそうでないのだ。 さらに面白いのは、2階の食品売り場を見ると、興味深いことに中華食材がほとんどないのだ。代わりに目立つのは、韓国やフィリピンの食材やお菓子。特にフィリピン食材には力を入れているようで、「フィリピンで大人気」と淡水魚の「ティラピア」が冷蔵什器の中にたっぷり入っていたりもする(ちょっとびびった)。