【池上彰氏に聞く】10億人が参加!盛り上がる「インド総選挙」...候補者名だけじゃなく『シンボル』を選んで投票!? 紅茶売りから上り詰めた『モディ首相』人気の秘密も解説
貧しい子ども時代からインド首相に!絶大な人気のワケ
―――4つのエリア終了までの投票率は66.95%(4億5100万人が投票)。過半数を獲得した政党の指導者が首相に任命されます。今回の選挙はモディ首相が率いる与党が優勢と見られていて、そうなるとモディ首相の3選ということになりそうです。そのモディ首相はインド国内で圧倒的な人気があるということですが、その点についてはいかがですか? 「言ったことはみんなやる、公約をしっかり守っているというのは大きいですよね。モディ首相はもともと大変な苦労人だった。苦労して首相まで上り詰めたという、そういう人気があるんだろうと思います」 ―――1950年に生まれたモディ首相は、子ども時代はチャイ(紅茶)を売る家業を手伝っていたということです。その後、1987年にグジャラート州の議員に、2001年にグジャラート州の首相に、そして2014年にインド首相に上り詰めたました。やはり貧しい生活を強いられていた部分が多くの国民の心をつかんでいるのでしょうか? 「そうですね。駅を利用するお客さんにチャイを売り歩いていたという話もありますし、貧しいところからここまで上り詰めたのは大きいですよね。インドは“連邦制”になっていて、それぞれの州で首相がいるんですね。グジャラート州の首相というと日本としては違和感があるかもしれませんけど、その中で議会で多数を占めて首相になったという経験があって、さらには国全体の首相になったということですね」 ―――モディ首相は2014年からほぼ月1回のラジオ番組「マン・キ・バート」(心の話)のDJをつとめていて、演説が上手だということです。そして、首相就任以来最も大きな実績と言えるのが、インド全国民の「トイレ」を作ったことですね? 「インドではものすごく格差があったから、家にトイレがない家庭が実はとても多かったんですよ。だから外に排泄に行くわけですよね。例えばそこで女性が性被害にあうというのは、実に深刻な問題。だからモディ首相は自分が首相になったときに『全国民にトイレを作ります』ということを宣言して、その通りになったんです。当時の13億人のためのトイレを作り、上下水道もなかったところがどんどんできてきた。水道・トイレができたのは実績として大きいですよね」