中村俊輔も認めた技巧派レフティの真骨頂は? 遠藤康のブレない信念こそ、彼の成功の土台にあったように思う【元番記者コラム】
「オレも俊輔さんと一緒にやってみたかったなー」
そんなヤスと今年、久々にゆっくり話す機会があった。10月19日の仙台対横浜FC戦。スタンドの取材席に座っていると、「久しぶり!」と笑顔で話しかけてくれた。前半は隣に座って、試合を見ながらいろんな話をしてくれた。 今年は怪我に泣かれさ、出場はわずか1試合。さすがに来年のことは聞けなかったが、今思い返すと、あの時のすっきりした表情から想像すると、もう今年限りでスパイクを脱ぐ決断を固めていたのかもしれない。 対戦相手のベンチには、くしくも中村俊輔コーチの姿があった。遠藤に「マリノスでプレーしていた時に、ヤスと一緒にやりたいって言ってたよ」と十数年越しに伝えると、ちょっと真剣な表情を見せて、こう言った。「オレも俊輔さんと一緒にやってみたかったなー」。 交わることのなかった天才レフティ2人。果たして遠藤は引退後、どんなセカンドキャリアを歩むのだろうか。非常に楽しみだが、これだけは言える。“彼のブレない信念があれば、きっと問題ない”と。 個人的には、指導者になって、ぜひ俊輔のような、遠藤のような、左利きの技巧派選手を育ててほしい。 取材・文●垣内一之(スポーツニッポン新聞社)