「モチベーションにつながれば」引退試合で4得点の梁勇基が語った家族への思い。息子たちは仙台アカデミーでプレー
「今日の試合を見て何を感じてくれるか」
[梁勇基引退試合]仙台レジェンズ 4-4 梁勇基フレンズ/12月14日/ユアテックスタジアム仙台 【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集! 12月14日、ユアテックスタジアム仙台で、昨季限りで現役を引退し、現在はJ2仙台のクラブコーディネーターを務める梁勇基の引退試合が行なわれた。 梁と仙台でプレーするなど親交の深い選手が集まり、仙台が東日本大震災以降にJ1で躍進した2011~13年時のメンバーで構成された仙台レジェンズ(監督・手倉森誠)と、それ以外の期間を共にプレーした選手や、北朝鮮代表の先輩である安英学、後輩の李漢宰を含んだ梁勇基フレンズ(監督・平山相太)に分かれて対戦した。 前半は仙台レジェンズでプレーした梁。45分に右サイドの田村直也からパスを受けた梁が得点し、仙台レジェンズが先制する。後半は梁勇基フレンズの一員となったが、1-1で迎えた70分に仙台レジェンズにPKが与えられると、一時的に梁が仙台レジェンズに復帰してPKを決めた。 梁勇基フレンズに戻った梁は、82分に松下年宏のお膳立てからネットを揺らし、試合終了間際にはペナルティエリア外からの直接フリーキックを決めてみせる。試合は4-4で終了し、梁はそれぞれのチームで2得点という結果に終わった。 スタジアムに足を運んだサポーターは何度も左右に横揺れする「梁ダンス」で盛り上がり、試合終了直後には参加した全選手・スタッフもサポーターと同様に肩を組んで「梁ダンス」を披露した。 試合後の会見で梁は、これまであまり語ってこなかった家族への思いを口にした。この日は両親、妻、4人の息子といった家族の前でプレー。長男は仙台ジュニアユース、双子の三男と四男は仙台ジュニアに所属しており、将来は父親のようにプロで活躍する選手を目ざしている。 そうした仙台アカデミーで研鑽に励む子どもたちに対しては「今日の試合を見て何を感じてくれるかというのは分からないんですけど、やっぱりこのベガルタ仙台というクラブで長くプレーするというところを一つの目標にしてもらえれば嬉しいなと思いますし、モチベーションにつながるような試合になれば、僕としてもすごく良いと思います」と思いを語った。 試合後のセレモニーでは、長男が梁にあてた手紙を読む場面もあった。「手紙で初めてそう思っていたんだという部分もありますし、本当に家族、そして子どもたちには苦労をかけた部分もあります。今日、引退試合を終えたので、ここからは少し家族に感謝の気持ちと、何か家族にも楽しんでもらえるようなことを自分としてもやっていきたい」という。 ストイックにプロの世界で結果を出すことに集中してきた梁。引退試合を終えて一区切りついたことで、今後の人生では家族に恩返しし、自らと同じくプロを目ざす息子たちを支えようとしている。 取材・文●小林健志(フリーライター)