2024年にマーケターが注目すべき(AIの動向以外の) マーケティングトレンド は?
記事のポイント マーケターは従来ブランドのコントロールを保持していたが、2024年にはこれを一部手放す必要がある。コミュニティと共にアイデンティティとメッセージを共創するブランドが成功する。 ブランドは、消費者の声に敏感になり、迅速かつ個別の対応を求められる。特にZ世代やミレニアム世代が重視するTikTokなどのプラットフォームでのエンゲージメントが重要。 GoogleによるサードパーティCookieの廃止はマーケティング業界に大きな影響を及ぼす。ファーストパーティデータの収集を強化し、データ、広告在庫、取引条件などの透明性を高める必要がある。 2023年にマーケティング業界で話題を集めた主要なトレンドについては、昨年末の振り返りですでに報じた通りである。新たな年を迎え、米DIGIDAYは昨年同様、複数の業界関係者に取材して2024年のビッグトレンドを占ってもらった。 クリエイティブエージェンシーのカーマイケルリンチ(Carmichael Lynch)で最高戦略責任者を務めるラクラン・ベイドノック氏が指摘する通り、「25年連続で、誰かが『伝統的な広告』の死を予言するだろう」ことは想像に難くないが、2024年のトレンドは文化的な変化とサードパーティCookie廃止の潜在的な影響がその中心を占めることになるだろう。(AIの動向については以前の記事でカバーしているためここでは割愛するが、今年もAIが大きなファクターとして注目を集めることは間違いない)。 マーケターとエージェンシー幹部が予測する2024年の注目すべきレンドを以下にまとめる。
ブランドナラティブに対するコントロール(あるいはその喪失)
従来、マーケターたちは自社のブランドは自社でコントロールできるものと考えてきた。もちろん、本当にそうできるのか否かは別の話だ。しかし2024年には、その考えを改めざるを得なくなる。文化の一翼を担いたければ、ある程度そのコントロールを手放すこともやむなしと考えるようになるだろう。以前にも報じた通り、マーケターたちは戦術を変える必要性に気づきはじめている。自社のブランドがオンライン上でどう語られるかについて影響力を行使するには、これまで掌握してきたコントロールを今後も保持したいと期待するよりも、従来の戦術を改めるべきと認識しはじめている。 「2023年には、メッセージ発信やブランドの意義などに対するオーディエンスやクリエイター側のコントロールが強まり、結果的にブランド側のコントロールの放棄に拍車がかかった」と、広告エージェンシーのEP+Coでカルチュラルコネクションズプランニングの責任者を務めるトム・クレル氏は電子メールによる取材で述べている。「さらに、購入や消費を促すインフルエンサーとは逆に、買わない理由を発信する『ディインフルエンサー』の台頭や、(グリマスシェイクの流行をはじめ)ブランドが製品のストーリーテリングに文化を取り込む手法など、2023年の最大かつ最高のソーシャルトレンドのいくつかも、ブランド側のコントロールの弱体化に寄与している」。 クレル氏はさらにこう続ける。「消費者のプライバシー保護に関する懸念、個人情報保護規制の改正に次ぐ改正、データプライバシー基準の厳格化などを背景に、ブランドはこれまでと同じやり方ではメッセージ発信の環境を制御できなくなった。では、それはいったい何を意味するのか。2024年には、文化がブランドをコントロールするようになる。しかし、コントロールする力が低下したからといって、ブランド力が低下するわけでは必ずしもない。今年勝ち組として勝利を手にするのは、こうしたコントロールの喪失にもっとも優雅に対応できるブランド、すなわちコミュニティのなかで、コミュニティとともにアイデンティティとメッセージを共創するブランドになるだろう。