【大人旅なら今注目の富山へ】富山の海と大地を味わう絶品コース
ニッポンの「ローカルトレジャー」を探す旅連載。今回訪れたのは富山県。田園風景に囲まれたレストラン「The Table」での美食をご紹介。 【写真】「The Table」のコース料理 東京から北陸新幹線「かがやき」で約2時間、到着したJR富山駅からさらにタクシーに乗ること約35分。立山連峰を奥座敷に据えた麓の長閑な田園風景に、ポツン、ポツンと“モダンな小屋”をちりばめたエリアが現れる。地元の製薬会社である前田薬品工業がプロデュースし、2020年にオープンを迎えた「ヘルジアン・ウッド」である。 いわゆる複合型リゾート施設とは一線を画し、昔からこの土地が持つ気配を大切に、伝統的な散居村の形式でレストランやアロマ工房、サウナホテルが点在。隣家を訪ねるように、徒歩で巡るそれぞれの心地よい時間を感じていただきたい。
《EAT》「The Table」 富山の海と大地に染まる一皿アート
旅から戻ると、記憶の大半が“その土地の食べ物”となる常々。今回はデトックスを目的とした出発だったはずなのに、帰路に着く頃には身体に取り込んだ“美味しかったあれこれ”の残像ばかりが手繰り寄せられる。
すっかり陽が落ちた夕刻、レストランに向かう小径をトボトボと歩くこと5分、真っ暗な田園風景を煌々と辺りを照らすのではなく、小声で囁くように光を灯す「The Table」に辿り着く。扉を開けると、天井の高いホールのような空間が広がり、吊るされたハーブのスワッグのせいなの、壁に埋め込まれた藁材の温もりなのか、穏やかな草原のような香りに包まれる。 この日のコースは、料理7品とデザート2品、季節のハーブティで構成。腕をふるうのは、フランスのブルゴーニュやブルターニュ地方の星付きレストランで修行を重ねた、富山県出身の熊野泰博シェフ。2022年2月にUターンし「The Table」のシェフに就任したという。
料理に合わせてワインとのペアリングをお願いすると、サービスマネージャーの中谷こと葉さんから「ノンアルコールドリンクのペアリングも楽しいですよ」とレコメンドが。メニューを拝見すると、黒文字とグレープフルーツのスパークリング、蕗の薹とキウイのジュース、八朔とディルの甘酒、金柑蜂蜜と焙茶といった思いもよらない食材が展開されている。「僕自身が、あまりお酒が強くないもので(笑)、“何これ?面白い!”と感じていただける料理とドリンクの融合を目指しています」と熊野シェフ。