長野県民はケンタッキーより「むしり」一択! 伝説のチキンにかぶりついてみた
「長野県民はクリスマスに、ケンチキよりも『むしり』を選ぶ」。 “むしり”って何?食べ物? そんな話を耳にしたら、確かめに現地に行くしかない。 “むしり”を調べてみると、どうも長野県佐久市の臼田地域でしか食べることができないご当地チキンのようだ。昭和30年代、養鶏が盛んだったこの地域で誕生したローストチキンで、一度食べたら忘れられなくなる中毒性の高い食べ物だという。 目指すは、長野県東部にある「むしり」が食べられるという「Big Ben(ビッグベン) 臼田店」へ。東京駅から新幹線に乗っておよそ1時間。佐久平駅を降りて国道141号線を南へ約20分車を走らせると、徐々に田園風景が広がり、北に浅間山、南には八ヶ岳連邦が連なる姿が現れてくる。 予約必須の豪快な鶏料理の正体とは……。
もともと「むしり」は、「Big Ben 臼田店」の店主の祖父である瀬川 清さんが、戦後に鶏を蒸し焼きしたメニューを考案。蒸し焼きの状態で手で豪快にむしって食べるのがもっともおいしい食べ方ということから、「むしり」と命名したという。 昭和34年に「元祖若鶏むしり専門店 瀬川」をオープン。昭和54年にテイクアウト専門になり、現在「むしり」をイートインで食べられるのは、「元祖若鶏むしり専門店 瀬川」から徒歩1分ほどの距離にある「Big Ben 臼田店」だけである。
「むしり」は、鶏本来の旨みを最大限に引き出すため、塩コショウのみというシンプルな味付けで仕上げられている。約1時間という時間をかけ、じっくりと焼き上げることで、鶏肉の旨みが凝縮されていくのだ。 この間も、部位ごとの焼き加減にムラが出ないよう、6~7回は焼き加減を確かめながら、焼き向きを調整し続けるという。その手間と情熱が、この一皿に込められているのだ。 注文を受けてから調理するため、焼き上げまでに時間がかかる。そのため、通常はイートインでも事前予約制となっているそう。「Big Ben」で「むしり」を注文すると、「若鶏むしり 瀬川」に連絡が入り、調理された焼き立てアツアツの「むしり」が提供されるという仕組みだという。