金融アプリで富築いた元トレーダー、今度はクオンツVCで革命目指す
(ブルームバーグ): 元リーマン・ブラザーズのトレーダー、ニック・ストロンスキー氏は過去10年間、自身の金融サービス会社リボリュートで銀行業界を揺さぶってきた。今度はベンチャーキャピタル(VC)業界で同様のことを成し遂げようとしている。
ストロンスキー氏(39)はアーリーステージの企業を対象としたクオンツ投資会社、クオンタムライトを設立。同社は人間のインプットよりもアルゴリズムや人工知能(AI)に頼って案件を発掘する。2022年に設立されたクオンタムライトは、ストロンスキー氏がアンカー投資家となった最初のファンドに約2億ドル(約320億円)を調達した後、この1年で12社近くの新興企業に投資した。
最近にはヘルスケアに特化した新興企業、ラッドAIに出資した。ベンチャーセクターは低迷しているが、同ファンドにとっては今年4番目の投資だった。事情に詳しい関係者によると、クオンタムライトは現在さらに別の案件を最終調整中だという。
多くの新興企業投資家がデータをうまく活用していると自慢するが、クオンタムライトは違いを主張する。
イリヤ・コンドラショフ最高経営責任者(CEO、38)は、リボリュートのロンドンオフィスでのインタビューで「当社は伝統的なベンチャーキャピタルとはかなり違うように見える」とし、「われわれがやっているようなことが未来に存在するのは、とても理にかなっている」と語った。
欧州では、自身の事業分野以外に資産を拡大させるためにベンチャー投資を行うハイテク億万長者が増えている。
決済サービスのチェックアウト・ドット・コムの創業者、ギョーム・プーサズ氏のファミリーオフィス、ジナル・グロースは2021年以降、少なくとも二十数社の新興企業に投資してきた、一方、スポティファイ・テクノロジーのダニエル・エクCEOの投資会社は昨年、老化を遅らせる研究を行っているスイスの新興企業に1000万ユーロ(約17億4000万円)を投資した。