認知症になるのを遅らせることが大事/医師で作家・鎌田實の「鎌田式 究極の若返り健康術」
<31>認知症になるのを遅らせることが大事 認知症の専門医、和田秀樹さんと対論をしました。彼は浴風会という老人専門の総合病院で働いていた時、年間100例ほどの死亡解剖をしたそうです。85歳を過ぎてアルツハイマー型の変性がない人はほとんどいなかった。しかしカルテを見直してみると、生前認知症の症状は全くないという人が結構いることが分かりました。 脳の認知症的変化は老化現象の1つ。年をとって顔にシワのない人がいないのと同じで、誰にでも起きるのです。60代の2・5%が認知症。80代では約30%が認知症。つまり、60代では約40人に1人だったのが、80代では約3人に1人に認知症の症状が出てしまうということです。 ・高齢になっても認知はすべて落ちるわけではない 米ワシントン大学が、高齢者と20代の若者に6種類の認知テストを行った結果、記憶力と認知スピードはやはり若者の方が優れていましたが、言語力や空間認知力、単純計算力や抽象的推論力では、意外にも高齢者の方が勝っていました。 自分でも、携帯を家の中のどこに置いたかわからなくなって妻に携帯を鳴らしてもらったり、俳優の名前が出ないなんていうことが少しずつ多くなりました。しかし言語力や抽象的推論力などは、むしろ若かった時よりも優れているように思います。 誰でもアルツハイマー型の変性をするということを意識しながら、日常生活に差し障る認知症的な症状が起きるのを遅らせ、脳の働きをさらにアップさせるためにはどうしたらいいかを考えていきます。