一発逆転の秘策 出題者の気持ちで過去問10年分を研究すると何が見えるか 桜井信一の攻める中学受験
受験本番まであとわずか、大きな模試も終わった。結局、一番行かせたかった中学校までは偏差値が5も足りなかった。小4から毎日が中学受験一色だったのに、子どもが一番行きたいと口にした学校へは奇跡でも起きない限り無理そうだ。このまま徒労に終わる。それでいいのかと……。 私なら諦めません。1か月残っているなら絶対に諦めない。あと1日ならさすがに神頼みかもしれませんが、1か月以上残っているならここで大勝負に出ると思います。 まず、頭の中を整理すると、偏差値5足りない状況は確実に落ちます。過去問を解いて4科で10%足りていない状況なら確実に落ちるでしょう。それでも一番行かせたかったという学校に拘るのなら、『問題を当てるしかない』。 塾が予想問題的中なんて言っていますが、どれを見てもかすっただけ。これが的中か?と思うものばかりです。私が『問題を当てるしかない』と言っているのはそんなレベルの話ではなくて、算数の問題3つを当てましょうという話。「そんなことできるの?」と思いますよね。できるかできないかではなく、偏差値5をひっくり返して奇跡の合格をした子は直前の学習内容がそのまま出題されているケースが多いはずです。まあ、うちもそのクチだったかもしれませんが――。 過去問10年分を見て、表を作って見てください。「表なら赤本にあるけど」と横着を言ってはダメです。自分で表を作ると肌で感じるものがある。絶対にある。 ある中学校の過去問を見ると、過去10年間で徹底して図形の移動(回転)が出題されていました。こんな難関中学でここまで同じ単元を毎年出題すると、もうこれはここを勉強しておきなさいと言っているようなものなのに、この問題を落とす子ってどんな子?と思いました。他にも図形の角度の問題を毎年出題する難関中学もあります。 過去問を眺めるときのコツ。出題者の気持ちになってみてください。だんだんわくわくドキドキしてくるはずです。「こ、こ、これは当ててしまうかもしれない」と思うでしょう。しかし、外したときのリスクもある。いや待てよ、リスクなんてないか……、だって受験勉強はするのだから。 そうなのです。ヤマを張るのは無謀な行為ではなく、逆転するための戦略的な行為であると同時に、受験勉強を疎かにしていないのです。さらに、他に受ける中学校で出題されることを考えると、全然損ではないのです。