【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】ニューウェイが設計し、ホンダPUが搭載されたマシンで走るアロンソを見たい!
■フェルスタッペンは「会計士」になる必要がある!? モンツァでのレッドブルは優勝争いどころか、表彰台争いにもからむことができませんでした。フェルスタッペン選手は6位、苦戦が続くセルジオ・ペレス選手も8位に入賞するのが精一杯という状況で、昨年から今シーズンの序盤までライバルを圧倒していたレッドブルですが、その強さは完全に影に潜めてしまいました。ドライバーのコメントを聞いていると、マシンの挙動がピーキーでドライビングにすごく苦労していることがうかがえます。 レッドブルがここまで開発がうまくいっていない理由は、チーム内の"お家騒動"の影響が当然あると思います。クリスチャン・ホーナー代表とモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコ氏との権力闘争に嫌気を差し、数多くのスタッフがチームを離れています。 チーム内に火種を抱えた中、フェルスタッペン選手はどのようにしてタイトルを防衛していくのか。彼は今後、自分とライバルとのポイントを計算しながら「会計士」になって戦う必要があると言われていますが、進化するスピードが速いF1の世界では、守りに入ったチーム、ドライバーは落ちていくだけです。それはF1の歴史が物語っています。 勝つためには攻め続けるしかないと思いますが、3連覇中のチャンピオンですら手を焼くマシンでどうやって攻めるのか......。レッドブルとフェルスタッペン選手がタイトルを防衛するのは、相当厳しい状況だと思います
■シミュレーションと実走のズレに苦しむVCARB レッドブルと同様に角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手の所属するビザ・キャッシュアップRB(VCARB)も後半戦に入り、パっとしなくなってしまいました。夏休み明けのオランダとイタリアの2連戦は連続でノーポイントに終わります。 VCARBはモンツァで角田選手のマシンにアップデートを投入しましたが、ドライバーが満足できるレベルになっていないようです。実際、予選では旧仕様のパッケージで走っていたチームメイトのダニエル・リカルドのほうが速いタイムを出していました。 VCARBは第10戦のスペインGPで大型アップデートを持ち込みましたが、そのときもうまく機能せず、「旧仕様のパッケージの方が良かったのでは?」と思われるレースがありました。VCARBは、風洞と実際にサーキットを走らせてみた際のデータがズレており、開発がうまくいっていないのかもしれません。 中団グループのライバル、ウイリアムズやハースは速くなってきていますので、VCARBにはアップデートが機能しない原因を早急に究明し、開発を立て直してほしい。 最後にレッドブル退団が決まり、その動向に注目が集まっていたデザイナーのエイドアン・ニューウェイ氏が、2026年からホンダと組むアストンマーティンに移籍することが正式発表されました。これまでウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルなどに在籍し、チームに数々の勝利とタイトルをもたらしてきたニューウェイ氏ですが、アストンマーティンに加入して、すぐに何かが劇的に変わるわけではないと思います。 今シーズンのアストンマーティンは昨年のような速さはなく、フェルナンド・アロンソ選手は苦しんでいます。でもニューウェイ氏が手がけたマシンがコースを走るようになれば、勢力図は大きく変わってくるかもしれません。アロンソ選手は現在43歳ですが、まだまだ一流のドライビングを見せてくれる選手です。「空力の鬼才」と呼ばれるニューウェイ氏が設計し、ホンダのパワーユニットが搭載されたマシンで元気に走るアロンソの姿を早く見たいです! ☆取材こぼれ話☆ 自身が作・構成・演出・主演を務めるミュージカル「Endless SHOCK」。5年振りとなる大阪・梅田芸術劇場メインホールでの公演を8月18日に終え、9月1日からは福岡・博多座での公演がスタートした(博多座での上演は9月29日まで)。 「博多公演が始まりましたが、声を潰してしまいました。公演に来ていただいた皆さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、声を出しづらい音域は把握していますので、発声法を変えたりしながら舞台に立ち続けています。その中で、声の響きに新たな発見もあり、今後につながる試練と捉えています」 スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD) 衣装協力/AKM ヘア&メイク/大平真輝) 構成/川原田 剛 撮影/樋口 涼(対談) 写真/桜井淳雄 Aston Martin F1 Racing