クリスマスの風物詩「プレゼントに『4℃』買う男性」論争、今年ついに終止符が打たれるか? 4℃は「もう“いじられブランド”ではない」という根拠
ブランド価値は、品質よりはイメージによって形成されるものだ。特に、プレゼントは「値打ちがあるものをもらった」ということが重要になるため、コストパフォーマンスのよい4℃のような商品は、必ずしもその価値が評価されるとは限らない。 いっそ、価格を上げてハイブランドとしてのポジションを獲得することを狙えばよいと思ったりもするのだが、価格を上げることはそう容易なことではない。特に、日本では「高級ブランドは海外ブランド」というイメージが強く、特にファッションやジュエリーでのハイブランド戦略はなかなか成功しないというのが実態だ。
■国産ブランドは「海外のお墨付き」が不可欠? 近代化の過程で、日本は先進国である西洋諸国から多くのものを取り入れたが、海外の物品についても「舶来品(はくらいひん)」として珍重されてきた。 戦後から高度成長期にかけて、日本は欧米諸国に「追い付け追い越せ」の精神のもと、「良い商品を安く作って安く売る」ということに注力してきた。諸外国と比べて、所得格差が拡大しない形で経済発展を成し遂げたこともあり、「お金のある人に、高く買ってもらえばよい」という発想にもなりづらかった。
筆者自身は、取り立てて愛国心が強いわけではないのだが、国産製品に対する愛着は強い。客観的に見ても、海外ブランドと比べて過小評価されている国産ブランドも多いように思う。 日本の食品や、外食、あるいはエンターテインメント・コンテンツに関しては、海外での評価も高く、ブランド価値も高まっているが、工業製品においては、日本は中国、韓国などの新興国に対して価格優位性を失っている。さらに、デジタル対応や顧客ニーズの変化に対応できずに、付加価値面でも欧米製品に対する優位性を失っており、ブランド価値を高めることが十分にできていない。
国産ブランドで、ハイブランド戦略を取って成功した事例として、セイコーグループの最高級ブランド「グランドセイコー」がある。もちろん、品質が優れているというのは大前提としてあるのだが、ニューヨークに旗艦店を出店し、そこでの成功を日本に逆輸入したことも大きい。 日本でのハイブランド戦略には、「海外(先進国)で認められた」というお墨付きが重要になるし、成功したブランドはだいたいそのような戦略を取っている。