「ホームレスは生活保護で助けられない」相談窓口の職員が、困窮者にでたらめ発言 誤りを認めなかった安城市は半年後に一転して謝罪
エレナさんは完全に打ちのめされ「自殺が頭をよぎった」と当時を振り返る。ただ、小学生と乳児の子2人を残すわけにはいかない。どうすればいいのかと途方に暮れた。 事情を聞きつけた日本人の弁護士やポルトガル語のベテラン通訳が無償で支援に入り、11月22日、再び窓口を訪問。エレナさんの所持金はこの時、4千円しかなかった。 すると1日と同じ男性職員と、女性職員が応対。約2時間のやりとりは激論となった。弁護士らによると、職員2人は生活保護制度を無視した対応に終始した。弁護士は、国の通知文を基に対応の誤りを指摘したが、職員は「解釈の違い」などと強い口調で応酬。その後も独自の見解を次々と持ち出し、申請を拒み続けた。 ▽ホームレスと同じ やりとりの中で職員は、県営住宅に住むエレナさんが、生活苦で家賃を滞納していることを「ホームレスと同じ状態」とまで言い放ち、こう続けた。 「それは彼女たちが申し訳ないけど、ルール違反で不法占拠して住んでるから屋根があるだけでしょ。何でその実態をホームレスじゃないって言えます?」「ホームレスだったら、生活保護とかではごめんなさい、助けることはできません」
職員のこの発言は、厚生労働省や専門家によると、明らかにおかしい。 外国人が生活保護を申請する際、在留カードを提示する。職員側の論理では、エレナさんがホームレス状態だから、在留カードに記載された住所が虚偽であり、誤った住所が記載されたカードは無効であると言いたいのだろうが、エレナさんは実際に在留カードの住所に居住実態があるためカードは有効だ。住所が違うと言うのであれば住所変更をすればいいだけであり、たとえ外国人のホームレスであっても、その寝起きしている場所の自治体は申請を受け付けることになっている。 弁護士が、そもそもホームレスではないと伝えても女性職員は「それは違いますよ」と否定し、「最悪、強制送還か何か分からないけども」と根拠なく発言した。男性職員もエレナさんの在留資格についてこんな発言をした。「首切り対象になっているような気がしますけどね」 ▽しょうがないですよね やりとりの中で男性職員はさらに、エレナさんと子ども2人を引き離す「母子分離」も持ちかけた。「生き延びようと思うんだったら、他方で、お子さんを保護する施設もあります」