「酒・ネット・食べる」やめられない人が見落としている視点 (滝川徹 時短コンサルタント)
■️依存症は誰にでも起こりうる
自分はネットも酒もほどほどにしている。依存症などとは無縁だ。そう思っているかもしれない。しかし依存症の世界的な権威であり、数々のベストセラーで知られる医師のガボール・マテ氏は次の3つを依存症の特徴として掲げている。 (1)(特定の行為に対して)短期的に得られる解放感(気持ちを落ち着かせてくれる)、快楽からくる衝動がある (2)(その行為を続けることで)長い期間で見ると自分自身または他人に苦しみをもたらす (3)その行為をやめられない これを質問形式にする。「ある行為をすると気持ちが落ち着いたり快楽が得られるが、長期的に見ると人生に悪影響がある。それにもかかわらず、やめられない習慣はありますか?」 ガボール医師が講演でこれを問うと、会場内のほぼ全員が手を挙げるという。彼によれば、挙げない人は真実を語っていないそうだ。君の回答はどうだろう。 タバコ、酒、ギャンブル、ゲーム、テレビ、SNS、ネット、飲食、セックス、衝動買いなど。薬物などの違法行為だけでなく、良好な人間関係を築けないならば「人への依存」、長時間労働が当たり前になっているなら「仕事への依存」の可能性がある。 このように重度か軽度は別として、誰にでも何かしらに依存している可能性がある。私も過去に特定の行為に依存していた時期がある。人に話をすると「そんなのは大したことじゃない」と言われる。 しかし今の私にとっては恥ずべき習慣だった。依存していた時期はそのことばかり考えてしまい、ビジネスがおろそかになった。当時の私にはその状態が当たり前で、ほかのことをおろそかにしている自覚がなかった。 何かに依存すると、自分では気がつかないうちにさまざまなことに悪影響が出てくる。仕事に集中できなくなったり、生活や人間関係に影響が生じたり。大抵の人は状況が深刻化したときにはじめて気がつく。 私は欲や依存している行為をコントロールすることができるようになってから、人生が劇的に良くなった。以前と比べて執筆や自分のビジネスに集中できるようになり、毎日が楽しくなり、ビジネスも順調に成長していった。 依存症について参考文献も読んだし勉強もした。その原因や背景も少しは知ることができた。だが、やはり専門的な治療が必要なもの。ここでどうこう言うことは控えたいと思う。 ただもし君や周囲の人が依存症に苦しんでいるのなら、カウンセリングやセラピーなど専門家の力を借りるべきだと思う。私自身も専門家によるカウンセリングを何度か受けた。日本ではあまり知られていないので恥ずかしく感じるかもしれない。しかし問題が深刻になる前に専門家に相談することをおすすめする。 ただ、これだけは伝えておきたい。依存症は誰にでも起こりうる。どんなに成功して大金を手にした人であっても、だ。だからこそ、そこにつながりやすい「欲」とうまく付き合うことを心がけてほしい。そう心から願っている。