意外と知らない「ねぎ」「しょうが」「みょうが」「わさび」「しそ」薬味の役割と効果を栄養士が解説

料理に風味と香り、彩りを添える薬味は、どんな料理にも欠かせない食材です。薬味には風味や香りだけなく、匂い消しや抗菌作用など食べ物をおいしく安全に保つ効果があります。この記事では代表的な薬味のねぎ、しょうが、みょうが、わさび、しその5つの薬味の役割を紹介します。 〈写真〉意外と知らない「ねぎ」「しょうが」「みょうが」「わさび」「しそ」薬味の役割と効果は ■薬味とは？ 薬味とは料理の少量添えられる香りや味の強い食材のことを言います。代表的なものは香味野菜、香辛料、柑橘系の果物、海藻や削り節など様々な食材があります。 ■薬味を使う目的 薬味の用途は少量で見た目や味の変化だけでなく、主に４つの大きな働きがあります。 ■■食欲増進：強い香りで食欲を増します ■■減塩効果：風味や香りが強いので、調味料を控えても味が決まります。 ■■臭み消し：薬味独特の強い香りと成分で肉や魚などの素材の臭みを消します。 ■■殺菌効果：殺菌作用で食中毒の予防にも繋がります。 ■代表的な薬味の効果 和食には欠かせない、ねぎ、しょうが、みょうが、わさび、しその5つの薬味の役割を紹介します。 ■■ねぎの効果 消臭効果 殺菌作用 疲労回復 血流促進 ねぎの独特の香りは硫化アリルという成分によるもの。たまねぎにも含まれる成分ですが、肉や魚の臭み消しや、殺菌作用、疲労回復、血流促進に効果があります。硫化アリルは切った断面から蒸発していくので、食べる直前にねぎを切って使用すると硫化アリルを効果的に摂取できます。 ■■しょうがの効果 食欲増進 血行促進 抗菌作用 生姜の香り成分はシネオールという成分。食欲増進に効果があります。食欲の落ちやすい夏、そうめんや冷ややっこにショウガを添えて食べるのが定番ですが、この組み合わせは夏バテに効く理に叶った食べ方なのです。一方ショウガには身体を温める効果もありますが、これはジンゲロールやショウガオールという成分によるものです。ジンゲロールは抗菌作用もあります。ショウガを加熱したり乾燥させると辛み成分がショウガオールに変化し、胃を刺激して内臓の働きが活発になるため、身体の中から温まることができます。 ■■みょうがの効果 リラックス効果 睡眠改善効果 みょうがの爽やかな香りはαピネンという成分によるものです。ヒノキ、マツ、スギなどの木材にも多く含まれる成分で、リラックス効果や睡眠改善効果があり、他の薬味では得られない珍しい効果があります。 ■■わさびの効果 消臭効果 抗菌・抗虫作用 お寿司に欠かせないわさびはツンとした辛みで魚の生臭みを消してくれる働きがあります。わさびの辛み成分には食中毒菌や酵母、カビの増殖を抑える強い働きがあり、強い抗菌・抗カビ作用があります。 ■■しその効果 防腐・殺菌効果 抗炎症作用 抗酸化作用 和食に欠かせないしそには防腐・抗菌作用があります。また特有の香りは主にぺリルアルデヒドという成分によるもので、抗炎症作用があることも知られています。βカロテンやビタミンB1、カルシウムなども豊富に含むので栄養価も高い食材です。 ■まとめ 薬味は味や香りが強いので少量でも料理に大きく影響します。彩りを添えるだけでなく、食べ物をおいしく、安全に保つ働きもあります。この記事で紹介した和食に使われる代表的な薬味です。違いを知ってうまく生活に取り入れてみましょう。 〈参考文献〉 新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いについて教えてください。 生姜は体を温める効果があるそうだが、どのような成分が働いているのですか。 旬の食材で夏バテ予防レシピ 金印わさび機能性研究所 Kagaku to Seibutsu 57(7) Cosmetology Vol26 2018 p141-145 Tsunetsugu_Y.pdf ライター／田中ひろか（管理栄養士）