【2024 MotoGP 第15戦インドネシアGP】マルティンが今季3勝目を挙げタイトル争いをリード!
バニャイアがスプリント制覇! マルティンまさかの転倒でポイント差が12に
2024年9月27日から29日にかけて、インドネシアのロンボク島にあるプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットでMotoGP第15戦インドネシアGPが行われた。ミサノでの連戦ではドラマの多いものとなり、チャンピオン争いはホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)が21ポイントのリードを保っている。戦いの場をアジアに移し迎える第15戦、ここで流れが変わるのか、それとも。 【写真はこちら】走り姿がかっこいい! MotoGP 第15戦インドネシアGPで活躍したライダーたちの雄姿 ●バニャイアがスプリント制覇! マルティンまさかの転倒でポイント差が12に アジア・パシフィックラウンドの初戦となるインドネシアGP。ヨーロッパからアジアに戦いの場が移っても、やはりドゥカティ勢の強さに揺らぎはなかった。 ポールポジションはレコードタイムを更新する走りを見せたマルティン。2番グリッドに復活を期すマルコ・ベッツェッキ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)、3番グリッドにはスプリントで初優勝を目指すルーキーのペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)がつけた。 ランキング2番手のフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は4番グリッドから優勝を狙う。 気温29度、路面温度60度のドライコンディションの中、13周のスプリントレースがスタート。マルティン、そしてバニャイアのタイトル争いを繰り広げる2台が好スタートを切り、いきなり直接対決の様相となる。 レースを通じて2台の優勝争いが展開されると思われたオープニングラップのターン16、先頭のマルティンがフロントを失いまさかの転倒。低速コーナーでのスリップダウンということもあり、すぐさま隊列に戻るも、いきなり最後尾にまでポジションを落としてしまった。 これで労せずしてトップに立ったバニャイア。その背後にはアコスタ、ベッツェッキ、マルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)、エネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が続きトップ集団を形成する。 2位のアコスタはペースが上がらず徐々に後退。バニャイア、ベッツェッキ、マルケスが少し抜け出し、それをバスティアニーニが追う展開となる。 2位のベッツェッキは上位勢の中で唯一前後ともにソフトを選択していたが、中盤になってもペースが落ちることなくバニャイアの背後につける。 しかし、7周目のターン10のブレーキングでミスを犯してしまったベッツェッキはオーバーラン。マルケスとバスティアニーニの先行を許してしまった。 スタートで一気にポジションを上げ、ライバルのミスもあり2位に上がったマルケス。このままバニャイアをも捕えるかと思われたが、バニャイアの隙のない走りに仕掛けることができない。 そんなマルケスに襲いかかったのが3位のバスティアニーニ。残り2周のターン10でインからマルケスをオーバーテイクし2位に浮上。ランキング3位を1ポイント差で争っている両者だが、今回はバスティアニーニに軍配が上がった。 2位争いが展開されたこともありバニャイアが逃げ切り優勝。マルティンの転倒もあり大きな12ポイント獲得となった。 2位にバスティアニーニ、3位にはマルケスが入り表彰台を獲得。一方、オープニングラップで転倒したマルティンは怒涛の追い上げを見せ、最終的に10位でフィニッシュを果たした。しかし、ポイント獲得とはならず、バニャイアとのポイント差は12ポイント差まで接近している。 ●マルティンが前日の借りを返す独走で今季3勝目を挙げる 決勝日も天気に恵まれたが、東南アジアらしい高温多湿でライダーにとっては厳しい環境下の中でのレースとなる。気温29度、路面温度56度のドライコンディションの中、27周の決勝レースがスタートした。 前日同様、ポールシッターのマルティンが抜群のスタートを決めホールショットを決め、バスティアニーニ、アコスタが続く。 その後ろではアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)、ジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)、アレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)、ルカ・マリーニ(Repsol Honda Team)の4台が絡むアクシデントが発生するもレースは中断することなく続行。 トップのマルティンは早くも得意の独走状態に持ち込む中、3位のアコスタが2位のバスティアニーニを攻略し2位に浮上する。リズムに乗れないバスティアニーニはその後もフランコ・モルビデリ(Prima Pramac Racing)やベッツェッキにもかわされてしまう。 レース前半から中盤にかけて大きな動きはなかったが、2位のアコスタがマルティンとの差を徐々に詰めていく。そして、折り返し地点に差し掛かろうとしていた12周目に7位走行中だったマルケスが突然スローダウン。エンジントラブルか、マシンから出火してしまったため、マルケスはここでリタイアとなってしまった。 一時、アコスタに迫られたマルティンだったが、どうやらペースをコントロールしていたようで、レース中盤以降はアコスタとの差は詰まらずギャップを保ちながらトップをひた走る。 単独走行となったトップ2とは打って変わって、3位争いが白熱。ポジションを落としていたバスティアニーニがモルビデリを攻略し再び表彰台圏内に復帰する。しかし、21周目のターン1でバスティアニーニが痛恨の転倒を喫してしまったのだ。 ランキング3位を争うマルケスがリタイアとなっただけにポイントを稼いでおきたかったバスティアニーニだったが、こちらも今大会をノーポイントで終えることとなった。 マルティンはアコスタとの差をキープしながらトップチェッカー。決勝レースでは今季3勝目を挙げ、前日の雪辱を果たした。 自己最高位タイとなるアコスタが2位、3位にはモルビデリ、ベッツェッキとのバトルを制したバニャイアが入っている。 日曜日はマルケスが優勝、バニャイアが3位という結果に終わったため、両者のポイント差は21点に。今季は両者ポイントの取りこぼしを繰り返しており、常に接近した勝負が続いている。 久々の優勝となたマルティンは今度こそ流れに乗ることができるのか、はたまた再びバニャイアがまくることになるのか、目が離せないタイトル争いはいよいよ日本GPに持ち込まれる。 連戦となる次戦は10月4日から6日にかけて行われる日本GPだ。母国凱旋、そして最後の日本GPとなる中上貴晶(IDEMITSU Honda LCR)の走りには是非とも注目したいところ。 厳しい状況ではあるが、粘り強い走りでホンダに貢献している中上は、今回のサバイバルレースを生き残り、11位入賞を果たしている。中上の最後の日本GPでの走りを目に焼き付けたい。
河村大志