大阪市・ビル放火事件を受け「避難対策強化事業」を実施へ 階段が1つしかない建物の所有者らに命を守るための指導
大阪市・ビル放火事件を受け「避難対策強化事業」を実施へ 階段が1つしかない建物の所有者らに命を守るための指導
2021年12月に大阪市北区のビルに入るクリニックが放火され、男女合わせて26人が死亡した放火殺人事件を受け、大阪市消防局は6日、現場となったビルと同じような直通階段が1つしかない建物の所有者らが、命を守るための知識などを習得するための避難対策強化事業を7日から実施すると発表した。 【動画】大阪市・松井一郎市長の定例会見(2022年10月6日)
同市消防局の発表によると、火災発生時に避難するための直通階段が一つしか設けられていない「特定一階段等防火対象物」は同市内に5480件あるという。 今回の事業では、そうした建物の構造上の危険性や避難の困難性を調査して危険度を判定。建物の所有者やビルのテナントの入居者ら当該対象物の関係者に命を守るための知識や方策を得るための具体的な指導を行い、防火・防災意識の向上を図っていくとしている。
「通常の消防訓練では指導しない命を守るための最終手段のコーチングも行う」
大阪市の松井一郎市長は6日午後、大阪市役所で行われた定例会見で、この事業について発表した。 松井市長は今回の事業について「煙の流入防止方法や避難器具の使用方法などのほか、2階からのぶら下がり避難など、通常の消防訓練では指導しない、命を守るための最終手段のコーチングも行います。これにより対象となる建物の関係者の方々に避難が難しい建物で勤務等をしていることを認識いただき、万が一のときに自身や利用者の命を守る助けになってほしいと思います」と話した。
「万博開催を控える国際都市として災害に強いまちを目指す」
また「今後、避難訓練ガイドラインが全国に発出されると聞いていますが、このような建物を多く抱える本市が全国に先駆けて『セルフ・レスキュー・コーチング』を展開いたします。2025年大阪・関西万博開催を控える国際都市・大阪として、これまで以上に災害に強いまち、安全な都市を目指し、当事業を重点的かつ継続的に進めていきます」とも話していた。