地域文化商社「うなぎの寝床」が伝える、その土地ならではの商品
ー春口さんは、どのような点が地域文化の魅力だと考えていらっしゃいますか? その時々で人が考えて形にしてきたことが残っていると思うので、その時代のものを見たり知ったりできるところが面白いなと思っています。 ー全国の作り手さんとつながりがあるかと存じますが、どのように知り合われているのでしょうか。 最初は、前職でのつながりと私が知っている作り手さんたちから始まりました。私自身がもともと伝統工芸のようなものが好きだったこともあり、いろいろなところに出歩いてたので、知り合いの方に「お店を始めるから取り引きしてほしい」と訪問してお願いしたんです。 今は、いろいろな出会い方をしています。合同で開催している展示会に行ったり、観光情報誌を見て気になったところに連絡を取ったり。特別なところで出会うわけではなく、身近なところから出会うことが多いです。 ー福岡に限らず、愛媛県大洲市にも店舗を展開されていますよね。何か理由はあるのでしょうか? 大洲の店舗がある場所は、地域文化観光を掲げていろいろな取り組みをしているところで、それを担う企業から熱心にお声掛けいただいたことがきっかけで出店しました。 一見、九州とは無関係そうな場所なのですが、実はつながっているものもあるんです。たとえば、愛媛の砥部焼という焼き物は、昔佐賀県から職人さんを呼んで焼き始めたものだそうです。 離れた場所に拠点を持つことで、そこでしか分からない過去の交流や関係性が見えてきて、面白いなと思いました。 土地によって取れる木や石などの種類も量も違うので、実際に訪れることでいろいろなことを知ることができます。
作り手と使い手の間に立つからこそできることを
ー「UNA PRODUCTS」の代表的な商品について教えてください。 代表的な商品は、久留米絣で作ったMONPE(もんぺ)です。作り始めたきっかけは、創業前から行われていた「もんぺ博覧会」。久留米絣を伝えるための企画で、1年目にもんぺに関する展示と織元さんが元々作っていたもんぺの販売、型紙の少量配布を行いました。 型紙を用意したきっかけは、八女にある高校とコラボしたこと。その高校では、授業の一環で農作業用にもんぺを仕立てており、型紙をおこしていました。もんぺ博覧会でその取り組みを紹介したところ、お客様から「生地や反物が家のタンスに眠っているから、型紙が欲しい」というお声をたくさんいただいて。 そのため、2年目にもんぺを作る型紙を販売したんです。作った型紙は、昔ながらのゆったりしたもんぺではなく、久留米絣の生地幅(40cm弱)を生かして着尺(反物幅)で効率よくつくれるものにしました。 「ちょっと細身になっているから穿きやすそう」とまた反響をいただき、3年目にそれを製品化して、現在のもんぺが出来上がりました。