「月の水脈を探す」日本独自の技術で月面開発をリード
月面開発において、水の確保は最重要課題だ。飲料水はもちろん、電気分解で呼吸用の酸素を作ったり水素からロケット燃料を作るなど、水は非常に大切な資源となる。では、月の地下に埋もれているとされる水脈をどうやって見つけるのか。日本の研究チームが、穴を掘らずに月の地表や周回軌道から水脈を特定する方法を開発した。 理化学研究所、量子科学技術研究開発機構、立命館大学、聖マリアンナ医科大学、京都大学による研究チームは、月の地下から地表に漏れ出てくる中性子を測定することで、位置や水量などの水脈に関する情報を特定できることを確認した。宇宙から降り注ぐ銀河宇宙線が月面に衝突すると、核反応によって中性子が発生する。それはエネルギーを失いつつ地表に漏れ出てくるのだが、そのエネルギーや強度を測定することで地下水脈の有無がわかるということだ。 現在は、月面ローバーに搭載できる放射線モニター「Moon Moisture Targeting Observatory」(MoMoTarO)を、京都大学、理化学研究所、立命館大学が中心となって開発中で、立命館大学には月の土壌を模した環境が作られ、この装置の実証実験も行われている。さらに2026年には国際宇宙ステーションでの実証実験も予定している。 月の水資源を効率的に探し出すには、あらかじめ月面ローバーや月周回衛星を使って遠隔、非接触で水脈候補地を特定することが重要となる。この測定法は、月にかぎらず宇宙探査のキー技術のひとつになることが期待されるとのことだ。
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