ウクライナ孤児院におむつを、17歳奔走 避難民の友思い、家庭の未使用品を回収
ロシアの侵攻が続くウクライナを支援しようと、独協埼玉高(埼玉県越谷市)の冨澤実留(とみざわ・みる)さん(17)が、家庭で不要になった未使用のおむつを回収し、現地の孤児院に送った。止血帯を購入するため、クラウドファンディングを活用するなど資金調達にも奔走。行動のきっかけになったのは、留学先のエストニアで出会った同い年のウクライナ避難民だった。 「ウクライナにおむつをとどけよう!」。協力を呼びかけるポスターには、黄色や青のハートがちりばめられていた。冨澤さんは高校や近所の菓子店に掲示を頼み、集めた大人用を含む計3400枚以上のおむつを3月末に郵送した。 2022年夏、ロシア隣国のエストニア留学でできた避難民の友人の存在が背中を押した。現地校で日本のアニメが好きだというソフィア・ドブロバさん(16)と親しくなり、毎日のように一緒に過ごした。ただ、父親と兄を残して避難したソフィアさんがつらくなるかもと、侵攻について詳しくは聞けなかった。
約10カ月間の留学を終えて昨年帰国。友人が時折見せた悲しげな顔を忘れられず、活動を始めた。ポーランドから支援を続ける日本人に紹介してもらい、送り先をウクライナ北東部のスムイ州にある孤児院に決めた。交通の便が悪く、西側諸国からの物資が行き届いていないという。施設からは「日本の皆さんにも厳しい状況を知ってほしい」と連絡があった。 クラウドファンディングは目標の50万円を達成。送料に充てるつもりだったが、寄付額が予想を上回り、他にも支援の申し出があったことから、集まった資金は現地で不足している止血帯の購入費とした。 活動に賛同した医療機器販売会社の「オーストリッチインターナショナル」(横浜市港北区)が、止血帯を半額に値下げしてくれたため、100個ほどの無償提供につながりそうだ。 活動についてソフィアさんに報告すると「故郷からの避難を余儀なくされ、どうすればいいか分からなかった。支援を続けてくれてありがとう」とのメッセージが寄せられたという。冨澤さんは「同世代の日本人にも、戦争を自分ごととして捉えてもらえるような活動を模索していきたい」と話した。