GLAY、リル・ヨッティ、星野源などが熱演 サマーソニック2024総括レポート【東京公演DAY1】
Madison Beer、Laufey、Mina Okabe、Nothing But Thieves、Bleachers
Madison Beer 16:05〈MOUNTAIN〉 YouTubeに上げた動画をジャスティン・ビーバーに“発見”され一躍注目を浴びてから早13年、シンガーとしてもソングライターとしても着実に成長を重ねてきたマディソンが初来日を果たした。ドリーミーかつ内省的な佳曲が並ぶ最新作『Silence Between Songs』から、「Home To Another One」でスタート。11曲中5曲が同作からだったが、キーボード兼ギター/ベース、ドラムの2人による演奏はアルバムより温度高めで、ロックフェスの舞台にもハマっていた。「Envy The Leaves」や「Reckless」でギターがブライアン・メイ風に泣くのもライヴならではのアレンジ。「Sweet Relief」ではどこまでも伸びていくファルセットで圧倒、歌唱力の確かさを実感できた。詞世界は極めてナイーヴだが歌い手としては案外タフ。翌日の大阪では足の指を骨折したことが発覚するも、ライブをやり遂げる気概を見せた。(荒野政寿) Laufey 16:20〈SONIC〉 バークリー音楽大学在学中にパンデミックとなり、故郷のアイスランドに戻ってTikTokの配信をスタートさせたことをきっかけに、みるみるうちに存在が認知されたレイヴェイ。今年のグラミー賞では、史上最年少の24歳で2ndアルバム『Bewitched』が最優秀トラディショナル・ポップ・ボーカル・アルバムを受賞した才媛による初のサマソニのステージ。華やかなドレスを着たレイヴェイがステージに姿を現すと、大歓声が上がった。楽曲ごとにチェロ、アコースティック・ギター、ピアノを演奏し、ジャズ/ボサノヴァ/クラシックといったスタンダードをたっぷりと吸い込むと同時に、モダンさを感じさせる楽曲を披露していく。随所で楽曲に込めた繊細な思いをにこやかにオーディエンスに伝える姿が愛らしい。「I Love Tokyo So Much」と楽しそうに言ってから、『Bewitched』収録のジャズボッサ「From The Start」で締め括った。(小松香里) Mina Okabe 17:05〈BEACH〉 陽が西に傾いてもまだ肌をヒリヒリと焦がすような暑さが残るBEACH STAGEが、ほんの少し涼しくなったような気がしたのは僕だけではないだろう。「Every Second」が75億回再生のバイラルヒットを記録したデンマークの日系シンガーソングライター、ミイナ・オカベ。ドラム、ギター、ベースという最小限の編成で現れた彼女のそのアンニュイかつ優しげな声に、吸い寄せられるように集まってきたオーディエンスはみな気持ちよさそうに体を揺らしている。小袋成彬がサウンドプロデュースを務め、ラッパーのDaichi Yamamotoをフィーチャーし話題となったドラマ主題歌「Flashback」の、どこまでも平熱を保った演奏にも痺れたが、「(日本人の)母から聴かせてもらって好きになった」と紹介し、ジャジーにカヴァーしたaikoの「カブトムシ」は白眉だった。(黒田隆憲) Nothing But Thieves 17:15〈MOUNTAIN〉 6年ぶりの来日という不利に働いたかもしれない状況を物ともせずにUKロック5人組、ナッシング・バット・シーヴスは、バンドと日本のファンの絆の強さを見せつけた。見どころはやはりブルーアイド・ソウルな魅力もあるポップナンバー「Tomorrow Is Closed」で観客の気持ちを鷲掴みにしてからの後半だ。バラードの「Impossible」では、コナー・メイソン(Vo)のリクエストに応え、観客がシンガロング。「Amsterdam」のイントロを聴いただけで観客が上げた声の大きさが日本における彼らの人気を物語る。そして、日本に戻ってくることを誓ってから演奏したラストナンバー「Overcome」でも絆の象徴と言える観客のシンガロングが響き渡った。(山口智男) Bleachers 17:35〈SONIC〉 テイラー・スウィフト、The 1975などを手掛けてきたトップ・プロデューサー、ジャック・アントノフが自身のバンドで9年ぶりにサマソニへ帰還。ライブ巧者のジャックはド頭に「I Am Right On Time」「Modern Girl」を連打、すぐさま熱狂を生み出す。タンクトップ姿で客を煽りながら歌う現在の彼は、敬愛する地元ニュージャージーの大先輩、ブルース・スプリングスティーンさながら。サックス奏者を含む編成もE・ストリート・バンドを彷彿させるが、こちらはWサックスにもWドラムにもなるマルチプレイヤー揃い。鍵盤5台にグロッケンまで駆使して、分厚い音像で眼前に迫ってくる。その疾走感が頂点に達した「Rollercoaster」ではオーディエンスに肩車を促す場面も。最後はジャックがベースを弾きながら「土曜の夜から悲しみを取り除いたら僕らに何が残る?」と歌いかける「Stop Making This Hurt」で泣かせてくれた。(荒野政寿)