GLAY、リル・ヨッティ、星野源などが熱演 サマーソニック2024総括レポート【東京公演DAY1】
imase、NCT DREAM、Stephen Sanchez、Chilli Beans.、OneRepublic
imase 14:00〈SONIC〉 「Night Dancer」のバイラルヒットで一躍話題となった若きシンガーソングライターimase。友人の影響でギターを弾き始め、そこからわずか4年でSONIC STAGEを埋め尽くすほどの人気を獲得しているのは驚くほかない。「SNSでの『バズり方』を戦略的に考えながら曲を作っている」というこれまでの発言から、「ライブのクオリティはいかほど……?」などと少しでも色眼鏡で見ていた自分を猛省したい。ドラムにBOBO、ギターにモリシー(Awesome City Club)ら名うてのサポートを率いたそのステージは、骨太かつ躍動感たっぷり。1小節の中でファルセットと地声を複雑に練り込みながら、ポップで洗練されたメロディを歌いこなすimaseの胆力にも度肝を抜かされる。ライブ中盤ではPUNPEEがサプライズで登場し、コラボ曲「Pale Blue」を披露。先輩アーティストに気圧されることなく堂々と共演していた姿も印象的だった。(黒田隆憲) NCT DREAM 14:40〈MARINE〉 鍛えられた肉体のなせる業か、はたまたスターの風格か。NCT DREAMがステージに現れるだけで、「彼らはただものではない」という圧がビシビシと伝わってきた。「Glitch Mode」で響く歌声は、MARINE STAGE上に広がる晴れ渡った青空に、真っすぐ突き抜けていくよう。無駄のないフォーメーションチェンジも美しく、細かなところまで美意識が宿っていることを感じさせる。「Broken Melodies」では「みなさんも一緒に歌ってください」とオーディエンスに呼びかける一幕も。自然体な笑顔を覗かせたり、メンバー同士でアイコンタクトを取ったりと、パフォーマンス全体を通して楽しそうなのが印象的だ。クオリティーの高さと音楽を楽しむことは両立できるのだと、NCT DREAMのライブは鮮明に物語っていた。(坂井彩花) Stephen Sanchez 14:50〈MOUNTAIN〉 MVや写真から『glee /グリー』にでも出てきそうな繊細なタイプを想像していたら、ステージ上の彼は、けっこう骨太で逞しい感じ。50~60年代のヴィンテージロックを新鮮かつセクシーに蘇らせるスティーヴン・サンチェスを一目観たいと思った人は多かったようで、かなりの人集り。ノリも抜群だ。ゴールドのラメのカーテンが後方に映し出され、当時のアメリカンパーティに迷い込んだかのよう。如何にもロカビリーなファッションの彼は、4人組バンドを率いてリッケンバッカーをテケテケ、ピロピロと弾いて軽快に歌う。ステージ狭しと動き回ったり、投げ入れられたタンバリンを宙でキャッチしたりと21歳は元気いっぱい。ノスタルジックどころじゃないのは発見だった。クリス・アイザックのような哀愁も皆無で、これが新しいということか。個人的にはエコーが掛かりすぎの高音が耳障りで、入り込めなかった感はあるのだが、きっと当時のサウンドを忠実に再現していたのだろう。ロイ・オービソンのカバー「Oh, Pretty Woman」や自身の「Until I Found You」には、ひと際大きな拍手と、声援があちこちから飛び交っていた。(村上ひさし) Chilli Beans. 15:10〈SONIC〉 早速、コール&レスポンスで盛り上がった「duri-dade」をはじめ、バンド名の由来を物語るファンキーなロックナンバーでSONIC STAGEを揺らしていったChilli Beans.。しかし、それだけが彼女達の持ち味じゃない。グルーヴィーな前半から一転、後半で披露したインディ・ロック風の「Mum」と「lemonade」ではLily(Gt, Vo)とMaika(Ba, Vo)がタイトな演奏に徹して、Moto(Vo)が奔放な歌声で紡ぎ出すメロディの魅力も見せつける。LilyとMaikaが随所で加えるハーモニーも聴きどころだ。センスとスキルをアピールしながら、あくまでもポップでキュートというところがChilli Beans.流。惜しみない拍手喝采を贈る観客の笑顔も印象に残っている。(山口智男) OneRepublic 16:05〈MARINE〉 ライアン・テダーのルーツは、実はゴスペルではないかと、改めて痛感させられたこの日のライブ。全ての人の心に響くゴスペルのようなメロディとサウンドを作ってやるぞと思わなければ、こんな音楽は生まれないだろうし、ワンリパブリックもこんなに長くは続かなかったはずだ。決して洗練されてはないし、むしろベタな方。だが、万人の心をひとつにする鍵をしっかと握っている。『トップガン マーヴェリック』の挿入歌の例の口笛ソング「I Ain’t Worry」で幕を開け、新旧ヒットパレードを全力投球で展開。びっちょり汗で張り付いたライアンのTシャツの背中を観ながら、常人にはない崇高なモチベと魂を観た気がした。声がかすれても、裏返っても、メロディを歌い切るライアンの歌唱力というのにも恐れ入る。他アーティストへの提供曲を歌った“カラオケコーナー”では、ビヨンセの「Halo」なども披露されたが、比較的新しいテイト・マクレーの「greedy」への反応が鈍かったのは、そこまでコアファンじゃなかったせいなのか。単独公演でやる、観客を先導してコーラスを歌わせたり、みんなでハモったりというのを、この大きなスタジアムでもやってほしかったのだが……。それだけが心残り。(村上ひさし)