日本でも始まった「ステマ規制」って何?「広告」の文字が小さかったり薄かったりする場合はNGの可能性
本当は広告なのに見た人が「広告だ」と分かる表示をしないまま、著名人などが感想や口コミのふりをして商品やサービスを宣伝する手法を「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼びます。「ステルス」には、英語で「見つからないようにする」という意味があります。日本は諸外国と違ってこれまで規制の対象外で、ステマの“草刈り場”と言われていました。消費者の判断を誤らせる懸念があるとして、10月からは景品表示法で取り締まることになりました。どのようにステマと判断し、減少につなげていくのか。取り組みを見ていきましょう。 【写真】化粧品を紹介するインスタグラムの投稿
著名人らが商品の感想…宣伝では?
ステマに該当するのは、広告主が表示内容の決定に関わっているのに、広告表示だと明確に分からない場合です。交流サイト(SNS)や動画投稿サイトなどで人気があり、大勢に影響力を及ぼすという意味で「インフルエンサー」と呼ばれる人や、テレビタレントに対し、広告主が自社商品を無償提供して宣伝を依頼。インフルエンサーらが自身のSNSで、使用した感想を広告主から依頼されたと示さず投稿するのが典型的な例です。
過去には、タレントが自分の感想のように紹介したのに、実際には企業から依頼を受けた広告だった―と後に明らかになり、非難を浴びたこともあります。他にも、会社の商品販売担当者が自社製品をアピールしたくて、会社と関係のない一個人を装って良い評価をSNSに投稿したり、口コミサイトで他社の製品を劣っていると書き込んだりする、いわゆる「成り済まし」による表示の危険性も問題とされていました。
ステマへの関心は高まっていましたが、法規制がなかったこともあり、何が「ステマ」に該当するかは明確でありませんでした。政府は、過剰な表現や根拠のない効果を宣伝する広告を取り締まる景品表示法で、禁止する「不当な表示」に新たにステマを加え、10月1日に施行しました。商品やサービスを供給する事業主(広告主)が違反した場合、再発防止を求める措置命令を出して広告主を公表します。措置命令に従わない場合は、2年以下の懲役や300万円以下の罰金などが科されます。