日本でも始まった「ステマ規制」って何?「広告」の文字が小さかったり薄かったりする場合はNGの可能性
欧米では以前から規制・・・なぜ今?
ステマはインターネット社会の拡大とともに増えました。消費者庁によると、消費者がネットを利用する時間は2012~20年度の9年間で約2・3倍に増え、ネット広告の重要性も高まりました。新聞広告やテレビコマーシャルに比べ、ネットでは検索ワードに関連する広告サイトが表示されたり、ホームページを見ようとしたときに商品やサービスの宣伝画面が出てきたりと、手法も多様化。多くは消費者にも「広告」と分かるよう表示されている正規のものです。
一方、消費者庁が22年に実施したアンケートによると、現役インフルエンサー300人のうち123人がステマを依頼され、うち55人は依頼を受けたと答えました。「広告に見えないように宣伝する」という手法が横行していた実態が分かります。このアンケートで、ある事業者団体は「ステマを許容することは害しかない。消費者が広告に嫌悪感を持つようになり、広告の信頼性が落ちる」と警告していました。
米国、EUなど諸外国では以前からステマを法規制していました。米国では「(商品の)推奨者は商品を実際に使用したことがないといけない」「消費者が識別可能ではない広告などは欺瞞(ぎまん)的(ごまかす、だますという意味)なものに該当する」といった指針がありました。
消費者庁が22年にまとめた、ステマ規制を巡る検討会の報告書は「現在の日本は、いわばステマの草刈り場」としました。消費者が自主的で合理的な商品選択ができる健全な市場にするため、ステマ規制導入が強く求められていました。
「広告」表示の〝明瞭〟さ どう判断?
取り締まるのは主に消費者庁表示対策課です。各都道府県も景品表示法に基づいて再発防止命令を出せますし、公正取引委員会にも調査権限があります。消費者庁は、ホームページでステマに関する専用情報提供フォームを設けています。担当職員がSNSをチェックして違反を発見することもあるでしょう。
広告主から依頼された投稿でも「広告」や「PR」と“明瞭に”示していればステマになりません。何をもって明瞭とするかは、その都度判断されます。「広告」の文字が他の文字より小さかったり薄かったり、動画で認識できないほど短時間しか示さなかったり、大量のハッシュタグ(検索目印)の中に示したり、文中では「第三者の感想」と書いていたりすると、ステマとみなされる可能性があります。