「Apple Intelligence」登場--OSに統合されたアップル製AIの多様な機能
Apple Intelligenceの処理はデバイス上か、クラウド上か Appleはセキュリティとプライバシーの確保を目的として、AIをデバイス上でのみ実行する複数の方法に取り組んでいる、とのうわさが何カ月も流れていた。しかし、同社はプライバシー強化のためにデバイス上での処理を優先しているものの、Apple Intelligenceは少なくとも一部のタスクでクラウドを利用する見込みだ。特定のタスクがデバイス上とクラウド上のどちらで処理されるかは、タスクの複雑さ、リソースの利用可能状況、データプライバシーに関する考慮事項、遅延要件によって決まる。 基本的に、タスクがデバイスの処理能力とバッテリー持続時間を利用してローカルで処理できるほど単純で、結果がすぐに必要な場合は、デバイス上で処理される可能性が高い。Appleはデータプライバシーを優先しているため、機密データが含まれるタスクも、デバイス上での処理が優先される可能性がある。 一方、クラウドベースのAI処理では、複雑なタスクや計算負荷の高いタスクを処理できるリモートサーバーに、デバイスからデータを送信する必要がある。Appleの場合、大量のデータの処理や更新されたモデルが必要になるタスクとしては、複雑な分析や高度な生成AIのリクエストなどが考えられる。 Appleは「Private Cloud Compute」と呼ばれるものを活用して、クラウドサーバーが必要となる複雑なタスクに対応する。これらのプロセスは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、より大規模なサーバーベースのモデルを利用する。それらのサーバーは「Apple Silicon」を搭載しており、データがクラウドに保存されることはない。 AIを必要とするタスクをデバイス上で処理するか、クラウドにオフロードするかは、複雑さとシステム要件に応じて、アルゴリズムによって決定される。Siriへのリクエストのような単純なタスクや他の基本的な自然言語処理(NLP)タスクは、デバイス上での処理が可能だ。大きなドキュメントの詳細な要約の生成など、もっと複雑なタスクは、クラウドに送信されて、より強力な処理が実行される。 Apple Intelligenceの実際のプライバシーとセキュリティ 「Apple Intelligenceには画期的なプライバシー保護機能がある」。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏は、WWDC 2024の基調講演でこのように語った。同社はApple Intelligenceの発表時に消費者のプライバシー保護を大いに強調し、Federighi氏は「アーキテクチャーはプライバシーを中核に構築されている」と述べた。 同社は以下の複数のメカニズムによって、AI機能の安全性を維持しようと努めている。 デバイス上での処理:ローカルでの演算プロセスにより、機密情報や個人情報を常にユーザーの管理下に置く。タスクをデバイス上で直接処理するため、強力な演算能力が必要になる。だからこそ、AppleのAI機能の要件が、「A17 Pro」「M1」、およびそれ以降のプロセッサーとなっている。 「Private Cloud Compute」(安全なクラウド処理):Appleは、安全性の高い専用のApple Siliconサーバーを使用して、デバイス上では処理できない複雑なタスクを扱う。また、暗号による検証も使用して、ソフトウェアのログが調査のために公開されているサーバーだけがAppleデバイスと通信できるようにしている。 データの共有を限定し、保持しない:データをクラウドサーバーに送信する必要がある場合は、必要な情報のみが送信されるようにして、露呈を防ぐ、とAppleは消費者に請け合っている。また、そのデータを保持しないことで、消費者のプライバシーをさらに保護するという。 独立した専門家によるコードレビュー:Private Cloud Computeでは、独立した専門家がコードを調べて、プライバシー基準を満たしているか検証できるようになっている、とAppleは説明した。 データの暗号化:Appleは追加のセキュリティレイヤーとして、サーバーで送受信されるすべてのデータを暗号化する。 オプトアウトが可能:これが最も重要かもしれないが、ユーザーはApple Intelligenceの機能をオプトインすることができる。Appleが時間をかけてAI機能の改善に取り組んでいく中で、それらの機能はベータ版として提供される予定だ。 Apple Intelligenceの技術要件 Appleの新しいAI機能は、A17 Proチップを搭載した「iPhone 15 Pro」とそれ以降のモデル、M1チップとそれ以降を搭載したiPadとMacなど、最新のAppleデバイスで利用可能になる。 これらのAI機能によって新しいiPhoneやMacの販売が伸びそうだが、現在「iPhone 14 Pro Max」を使っている筆者としては、少なくとも一部の機能がiPhoneの旧モデルに提供されることを期待したい。 この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。