Aマッソが初優勝!無冠だったふたりが『ワタナベお笑いNo.1』で見せた“圧倒的パワーと攻撃力”【今月のお笑い事件簿】
【2】『有吉弘行の脱法TV』
『有吉弘行の脱法TV』(以下:『脱法TV』)の第2弾が放送された。 「テレビの抜け穴を探すギリギリ合法バラエティ」というコンセプトのこの番組は、2023年11月に第1弾が放送され、ギャラクシー奨励賞を受賞している。 地上波ではNGとされているものを「脱法」で放送しようとするのだが、VTRはコンプライアンス担当者や番組プロデューサーをはじめとする「コンプライアンス委員会」の判断で放送の可否が決まる。これ以上はNGと判断されると、強制的にVTRが終了し、カラーバーが表示されるというシステムだ。 『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』もそうだが、観ているものが強制的に終えられてしまうのはどうしてあんなにおもしろいのだろう。家でひとりテレビを観ているときに不意に訪れる呆気なさに、声を出して笑ってしまう。 第1弾では「地上波で映せる“乳首”の境界線、“タトゥー”の境界線」「訴えられない“ガチャピン”海賊版の境界線」「大人のビデオ」がテーマとなり、あの手この手を使ってコンプライアンスをくぐり抜けようとしていた。 タトゥーの入っているラッパーがお笑いのネタを作って披露することで、タトゥーの入った芸人を映す試みや、視点や状況を少し変えてどうにか大人のビデオを地上波で流そうとする試みは、くだらなさと斬新さのハイブリッドで最高だった。 今回の第2弾では、前回に引き続き「脱法乳首」を新たな方法でアプローチしている。以下は本編の内容なので、ネタバレを避けたい人は番組を観てから読んでいただきたい。 「アート」となるとコンプライアンスが厳しくなくなるという観点から、芸術品を紹介する番組の一環で乳首を映すというのは素敵な角度だった。 美術館を探訪する番組として片桐仁さんがロケをしていて、ホンモノの芸術作品と乳首を映すために作られたアートを見て、それぞれコメントする。私は片桐さんのアートの番組がもともと好きなので、よけい笑えた。 少し変な見方かもしれないが、不純な動機で作り出されたアートというのもいい作品だと思う。逆の逆に、今回作られた作品はアートとして観てもおもしろい。この試み自体が現代アートに近い。 第2弾はよりバラエティ番組に寄り添った内容で、「落とし穴」や「やらせ」など、実際に問題視されているものが盛り込まれていた。攻めた番組だなと思う。 安全面を考慮して、穴に落ちるのではなく、まわりの床が上がっていく「上がり床」はあまりにも観たことのない映像でおもしろかった。 何かに似ていると思ったのだが、「ホーンテッドマンション」の最初の部分だ。画面上で観ているだけでも、目の錯覚のような変な感じがする。実際にこれを受けたらもっと変な感覚になるだろう。 ドッキリによく遭っている芸人さんがことごとく絶妙なリアクションをしていたのは、新しいお笑いだった。悪趣味だが、大きく驚いている姿よりも不審そうにしているほうが好きかもしれない。上がり床、もっと見たい。 無人島ロケのやらせのために実施された、じゅんいちダビッドソンさんのロケ番組が本当に地上波で放送されていたという事実に驚愕したが、TVerで『ハングリーサバイバー』としてしっかり配信されている。 5分のサバイバル番組はあまりにもぶっ飛んでいる。カセットコンロが流れていく様はかなりしょうもなくて素晴らしい。『脱法TV』とともにチェックするべきだ。