Aマッソが初優勝!無冠だったふたりが『ワタナベお笑いNo.1』で見せた“圧倒的パワーと攻撃力”【今月のお笑い事件簿】
エンタメの四方八方を包囲する、Aマッソの底力と進化
話は変わるが、Aマッソというお笑い芸人を私は愛している。愛し続けている。ずっとおもしろくてずっとカッコいいからという理由だ。同じ時代に生きて、劇場で観られていることを幸せに思う。 7年ほど前、Aマッソのネタに、ラジオに、配信番組に、テレビでの振る舞いに、虜になった。女性芸人(わざわざこう表記するのも癪だが)で、あれほど鋭利に尖り散らかしている人をそれまで見たことがなかったからというのも大きいかもしれない。 卓越した言語感覚、ふたりだけのテンポ感、突拍子もない設定、独自性の高い企画、愛らしい風貌。先輩に悪態をついている姿でさえも特別な雰囲気があった。 四六時中Aマッソにまつわるものを観ていた時期が私の人生にはある。意味があったりなかったりするAマッソの一挙手一投足から目が離せなかった。 『バクモン学園!!住んでみた。』で毎回手の込んだ動画を作ってきて、その後のトークで太田(光)さんと口げんかする姿を憧れの眼差しで見ていた。 Aマッソに教えてもらったことは、フワちゃんという存在と、バリエーション豊かな下ネタが主だが、Aマッソから勝手に学んだことは数えきれないほどある。 何かの企画でAマッソが公開していた映像で「空と君とのあいだに」のメロディに乗せて「動画と静止画のあいだには」と歌っていたものがあった。画面には動画と静止画のあいだのものが映っていた。 理解こそ一切できなかったが、不思議と印象に残っている。あれはなんだったのだろうと急に気になり今調べたところ、元動画はおろか、その動画に言及する記事も投稿もひとつも見つけられなかった。怖い。もし何か覚えている人がいたら連絡してほしい。 フワちゃんがブレイクしたときに、加納さんがフワちゃんの友達の立ち位置でテレビに出演されていたときは、ほんの少しだけムカついた。テロップに「友達」なんて書かれていたから。友達って。 これが、「友達」ではなく「Aマッソ」としてメディアで観たいというファンのエゴだとはわかっていた。特にぶつける場所もないので、水やお茶で流して飲み込んだ。 そのモヤモヤがどれくらい続いたかは思い出せないが、いつの間にかバラエティでもよく見かけるようになり、今や冠番組を持ち、『MBSヤングタウン』のパーソナリティをする人気者。純粋にこの事実はうれしい。 加納さん・むらきゃみさんともに、結婚を発表されたころから、ブーストがかかったかのように露出が増えた気がする。 加納さんが、渥美清さんの逸話で有名な小野照崎神社で“砂糖を断つ願かけ”をしていた効果もきっとある。むらきゃみさんも“パスタ断ち”をしているらしいし、そんなアツいところも好き。 Aマッソの素敵なところは、これだけ売れているのに、新しいネタや企画を作って進化させているところ。 毎年欠かさず単独ライブをし、YouTubeチャンネルでは次々と新しい企画を発足させ、ほかにもKID FRESINOとのツーマンに、『滑稽』や『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』など、お笑いの外にまで踏み込んでいる。 『滑稽』と『奥様ッソ』についてはそれぞれ記事を書いたが、あれらの「怖い」はAマッソのおもしろさを軸に成り立っている。これができる「お笑い芸人」はAマッソくらいしかいないのではないだろうか。 今年7月には、過去の単独ライブや配信番組で制作した楽曲集のCDが発売。加納さんはエッセイや小説を出版され、ドラマの脚本も手がけるようになった。いよいよエンタメの四方八方を包囲してきている。