Aマッソが初優勝!無冠だったふたりが『ワタナベお笑いNo.1』で見せた“圧倒的パワーと攻撃力”【今月のお笑い事件簿】
Aマッソがラストイヤーで初優勝!「生きる理由になる」
そのAマッソが唯一保持していなかった「優勝」。それを今回の『ワタナベお笑いNo.1』で、ついに手にした。 『M-1』や『キングオブコント』では惜しくも決勝に進めず、『THE W』ではあと一歩のところで優勝を逃していたAマッソ。『ワタナベお笑いNo.1』も今年が最後と言っていたので、これ以降お笑い賞レースで観ることはないのかもなとぼんやり思っていた。 この1~2年で一段と知名度が上がり、おふたりの人となりも知れ渡っている。それが今回の大会で功を奏しているように見えた。Aマッソのことを知っている人が多いから、ネタはより受け入れられるし、大いに笑える。 1本目のネタが終わったとき、今年はAマッソの年だと直感するくらいには会場が圧倒されていた。むらきゃみさんだからこそ成り立つキャラに、一言一句聞き逃せないワード、気味の悪い展開におびただしい数の回収が伴うという、Aマッソの極致のようなネタだった。 完全に場を掌握していて、ふたりが放つ莫大なエネルギーに心を動かされた。ほかの芸人さんと並ぶとあんなに小さいのに。圧倒的なパワーと攻撃力。驚きと喜びが入り混じった知らない感情で、私は少し泣いてしまった。 2本目のネタは、設定もセリフも突飛で、Aマッソらしさにあふれている。加納さんとむらきゃみさんのテンションの差が、1本目の構図と真逆なのもいい。 「郷に入っては郷に従え」や「ノリではなく、文化」というパンチラインは、昨今あちこちで巻き起こるトラブルに共通していえることに通ずる。なんて今の時代に則したネタだろうと思った。 これはあくまで私の空想であり、野暮な感想でもある。何も考えずに笑っても、無駄なことを考えても楽しめるお笑いは貴重だ。本当にありがたい。 今の活躍の中で優勝するというのは本当にカッコよかった。来月には単独ライブも控えていて、その忙しさを想像すると恐ろしい。一昨年の単独も去年も単独も本当によかったので、今年も必ず観に行こうと思う。 これからもAマッソと同じ時代に生きられると思うと、暗い世の中も照らされる。観る理由がある。生きる理由になる。