円ヘッジ付きの米国債利回り、2年ぶりプラスに転じる見通し
(ブルームバーグ): 円ヘッジ付き米国債利回りが2年ぶりにプラスに転じる見通しだ。共和党のトランプ氏の勝利で米長期金利が上昇する一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換を受けヘッジコストが低下していることが背景にある。
ドルの対円での下落リスクをヘッジするコストを考慮した10年米国債利回りは13日、マイナス13ベーシスポイントまで回復した。 同利回りは、FRBの利上げでドルショート(売り建て)が割高になったことから、2022年9月以降マイナス圏で推移している。
米国債利回りが上昇する中、日本の投資家はFRBの金融緩和サイクル下で同国債を再び選好するのか、トランプ氏の関税引き上げや減税により利回りが一段と上昇するとみて投資を控えるのか、市場の争点となっている。
米財務省のデータによると、日本の投資家は今年1ー3月は米国債を買い越していたが、それ以降、売り越しに転じている。1ー8月の期間では、244億ドルを売却した。
もっとも、日本の投資家はこの間、10億ドル以上の米機関債・社債を購入していた。高水準にとどまるヘッジコストを埋め合わせたり為替リスクを吸収したりするため、利回りの高い債券にシフトしていることをデータは示唆している。
ドル下落をヘッジする上で投資家が負担するコスト(3カ月)は、昨年のピーク時の6.01%から4.56%に下落している。
ウエストパック銀行の金融市場戦略部門の責任者マーティン・ウェットン氏は、「為替ヘッジは依然としてコストがかかり過ぎるが、ヘッジ後の利回りがプラスになれば状況は多少変わるかもしれない」と言及。一方で「10年日本国債の利回りが1%前後なのを踏まえると、ヘッジ後の米国債利回りはまだ日本国債には及ばない」とも指摘した。
フランクリン・テンプルトンの債券部門最高投資責任者(CIO)ソナル・デサイ氏は為替ヘッジコストの低下について、「投資適格証券や課税対象の地方債などへの日本の需要に影響を与える」と指摘。「ヘッジコストが下がれば、米国市場のさまざまな部分がより魅力的に見える」と話した。
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Masaki Kondo, Mia Glass