<育児休業は取りたくても取れない?>現代の男性たちの本音と日本社会の休めない働き方について分析
2024年に発表された厚生労働省の調査結果によると、男性の育児休業の取得率が初めて3割を超え、1996年の調査開始以来、過去最高になったことが分かった。2022年4月に改正された育児・介護休業法により、育児休業を取得しやすい雇用環境が整備されたことも影響していると考えられる。 しかしまだまだ取得率が高いとは言えない。実際、当事者である父親たちはどう考えているのだろうか。育休を取得する・しないは、父親の育児に対する意識として考えられていたが、「個人の意識」だけが問題とも考えにくいという。日本の男性の育児休暇についての問題を探るため、2023年10月23日に掲載した『進まぬ父親育休 本質は日本の「休めない働き方」問題』を再掲する。 父親の育休取得の促進を狙い、2022年に施行された改正育児・介護休業法。子どもの誕生直後に取得できる「出生児育児休業(産後パパ育休)」などの新制度の開始から1年が経過し、男性の育休取得は順調に向上していると報じられている。厚労省「令和4年度雇用均等基本調査」での取得率は17.13%(前年は13.97%)、経団連「『男性の家事・育児』に関するアンケート調査結果」では47.5%(前年は29.3%)と、上昇のほどが見て取れる。 【図表】育児休業取得率の推移 しかしそれらの調査をより細かく見ると、産業別に取得の差が開いている実態が浮かび上がる。当事者である父親たちからは、「希望しても取れない」「制度はあっても使えない」との声が絶えない。 これまで父親の育休取得のいかんは、「育児に対する主体性の有無」という、個人の意識問題で語られがちだった。育休を取らないのは父親が望まないから、育児をしたくないから、という因果づけだ。産後パパ育休のような制度が新設されたのも、父親が育児に関わる時間を増やし、子育てを主体的に担うことを促す目的があった。 しかし社会的に取得が推進され、世界有数と評価されるレベルで制度が整えられた今、この因果づけだけで父親育休を語るには、疑問符が浮かぶ。 育休を取得する(できる)父親と、そうしない(できない)父親を分けるのは、本当に「個人の意識」だけなのだろうか?