婚活サイトで知り合った「年収1500万円」の夫、結婚後に「800万円」と判明 妻は「詐欺」と離婚を検討
●慰謝料請求はできるのか?
――夫が騙したという点につき、慰謝料請求が認められる余地はあるのでしょうか。 夫が年収の虚偽申告をした、つまり妻に対して嘘をついたということは間違いありません。 しかし、だからといって直ちに慰謝料請求が認められるかというとそうではありません。妻が夫に対して慰謝料請求が認められるためには、婚姻関係の破綻原因が夫にあることが必要になります。 今回のケースでは、年収の虚偽申告が夫婦関係を直ちに破綻させるとは言えないと考えられますので、慰謝料請求が認められないと考えられます。 なお、夫婦関係を破綻に追い込むような悪質な嘘を夫がついていた場合は、慰謝料請求が認められる可能性がありそうです。
●離婚を考えるなら「記録化(証拠化)」を
――この他に相談者が知っておくべきことはありますか。 合意(協議)で離婚できるのであればいいのですが、調停や裁判で離婚となると、夫婦関係が破綻していると評価できるのか、誰がどんな破綻の原因を作ったか、それぞれどの証拠からそのように言えるのかが重要になってきます。 なかなか難しいことですが、離婚をお考えになったときからでも、たとえば日々の行動であれば日記をつけるなど、第三者(主に裁判官)がみたときに、夫婦関係が破綻しているのか、その破綻の原因を作ったのは誰なのかが明らかになるように記録化(証拠化)することをお勧めします。 【取材協力弁護士】 西塚 直之(にしづか なおゆき)弁護士 西塚法律事務所 消費者事件を含む民事事件、家事事件、刑事事件、中小企業法務まで幅広く取り扱うほか、消費者教育にも力を入れている。令和6年度大阪弁護士会消費者保護委員会副委員長。近畿大学非常勤講師。家事調停官(非常勤裁判官)の経験もある。