日ハム吉田輝星のカーブ解析データはカーショー級!偵察007も将来性に脅威
日ハムのドラフト1位ルーキー、吉田輝星(18)が2日、沖縄国頭での2軍キャンプで初めてブルペンに入り38球のピッチングを行った。加藤武治2軍投手コーチを驚嘆させたのは、吉田がストレートのチェック用に混ぜ込んでいた縦のカーブ。トラックマンシステムによる解析データによると、その回転軸などは、ドジャースのサイヤング賞3度獲得のエース、クレイトン・カーショーのそれに近いという。偵察にきた他球団007も開幕ローテーに入ってくる即戦力としては見ていなかったが、文句なしの将来性のある素材として認めた。
考えるピッチング
国頭のブルペンの片側に新設された3段の“吉田シート”が満員御礼となった。両サイドの見学スペースが、約300人の報道陣とファンで膨れ上がる中で、吉田は5つあるマウンドの真ん中に入った。3年目の捕手、郡拓也を相手に立ち投げから、座らせての本格ピッチングに入ると、その一球、一球に、カメラマンのシャッター音と、ファンの溜息と歓声が起きた。 「見てくれるのは嬉しい。見られている意識、緊張感もある。試合に近い状態で臨める。シャッター音? 気にならなかった。でも、調子が、よければ、どんどんもっと見てくれとなるのだが、今日は、そういう気持ちにはなれなかった」 ストレートから入った吉田は、すぐにカーブを織り交ぜた。それも1球ずつ交互にだ。 その狙いをこう語る。 「カーブはストレートの腕の振りをしっかりとするために練習で投げている。腕の振りは変えずにボールに縦回転をつけられるのなら、同じ軸回転でカーブも曲がる。カーブで腕が振れると、しっかりと真っすぐも振れ、どちらもレベルアップできる」 ストレートは右打者のインサイドに集めた。それにも吉田なりのテーマがあった。 「インコースの方が体を開かずにいい球を投げられる。それと最近、カット気味の回転が続いていた。その回転だと、ちょっとずれるとアウトコースは曲がってしまうので」 ただ投げているのではない。考えながらの濃密なブルペンである。18歳のルーキーの思考は、すでに立派なプロフェッショナルだ。 ラストは「自信がある」というストレートで締めた。 「今できる全力で投げた」というそれは高めに浮いたが、郡のミットを押し返しそうになるくらい指にかかった威力満点のボールだった。ストレート、カーブ、スライダーの計38球のピッチング。斜め後ろから見ていた加藤2軍投手コーチが「緊張したか?」と声をかけると「しませんでした」と答えた。 大物である。 捕手の後ろからは、荒木大輔2軍監督、侍ジャパンの投手コーチである建山義紀氏、評論家の野村弘樹氏、黒木知宏氏らが熱視線を送っていたが、5万人の甲子園で投げてきたスターにしてみれば、平常心を失うほどではない。それでも「力みはあったかも」という。 「最初でいいピッチングができると思っていない。バラつきがあったし、全体的に球が弱い。自分の(ボールの)軌道が最大限になっていない。ストレートを強く投げれば高めに浮いている。まだコントロールできていないが、指にはかかっていた。次はもっと低めに集め、変化球も全体的に練習していかなくちゃいけない。徐々にやっていければいい。まだ全力では投げられていないが、体幹、走り込みをやって全力で投げられるようにして、次は全力で投げたい」 プロ初ブルペンの感想では反省が口をついた。