妻と死別…元読売テレビ清水健アナがシングルファーザーとなってたどり着いた答え 「自分らしく。それが息子のためにもなる」#令和の親 #令和の子
「ママがいない」3歳の頃に流した忘れられない涙
現在では「完全におばあちゃん子」だという息子が流した、忘れられない涙がある。3歳の頃、自宅に飾られた奈緒さんの写真と同じ構図で息子を撮影することを思い立ち、2人で奈良・金剛山へ出向いた。撮影場所に到着すると、突然、息子が泣き出した。 「ママがいない」。 いつも見ていた写真の風景の中で、そこにたたずんでいる奈緒さんだけが足りない。「心のどこかで、もしかしたら、と思っていたのかな」。清水には大泣きする息子を抱きしめることしかできなかった。
日常生活において、2人で奈緒さんについて話すことはあまりない。「聞きたいけど、聞いてこない。かっこつけるところが僕と似てるんですよ。妻に似た方がいいんですけどね」と笑う。病と闘う奈緒さんとの日々を克明に綴った清水の著書「112日間のママ」(小学館)も、まだ読んでいないが、いつか手にする日はやってくる。「読むときは2人で思いっ切り、思い出しながら、泣きたいなって思います。まだ僕は息子の前では泣けないので、読むのはもう少しでいいかな」と、少し先の未来を思い描いた。
「え?いるよね、ここに」
今年4月からラジオ関西「Clip」の木曜パーソナリティに就任。本格的なメディア復帰を見据えた活動をスタートさせた。そこには10歳となった息子へ「また違った父親の姿を見せないといけない」という思いと、「少し自分の人生にわがままになって良いのかな」と思えた出来事があった。
ある日、清水自身が「めちゃくちゃ弱ってしまった時」に、息子の前で「ママに会いたいな」と、つい口走ってしまった。その瞬間から後悔に苛まれたが、反応は予想外のものだった。 「え?いるよね、ここに」。 胸を指さしながら、そう答えた息子に清水は確信したという。「大丈夫だって思いました。僕の人生を歩もう、そうしたら息子は見ていてくれる。それが家族のためになる」。安心感と共に新たなステージへ進むことを決めた。
この7年、講演会や自身が主宰するシングルファーザーのコミュニティなどを通じて、キャスター時代よりも近い距離で多くの人と接してきた。「頑張っている人、しんどい人って、こんなにたくさんいるんだ、って。現場で知れたことをもっと広く伝えたい、伝えなくちゃ、と思います」と、新たな意識も生まれた。